仕事はもっとありますよ

 ローカルネタです。都道府県別有効求人倍率地域間格差と結びつける論調がときおり見られますが、求人倍率の低い都道府県から、それは必ずしも実態を現していないという主張が出てきたとのこと。

 佐賀県は26日、厚生労働省が毎月発表する有効求人倍率について、求人を受け付けた地域で算出する現行の「受理地別」とは違う「就業地別」による数値の提供も独自に受け、同時に公表していくと発表した。例えば、2007年度の有効求人倍率は受理地別では0.69と全国39位だったが、就業地別では0.80と福岡県並みに上昇。「佐賀県も働く場所が少ないわけではない」とアピールしていく。
 同県雇用労働課によると、佐賀の完全失業率は3期連続で全国最低を記録するなど失業率は低いのに、有効求人倍率はいつも全国的に下位に低迷。「県内の実態を反映していない」として、算出法の改善を同省に求めていた。
 佐賀県内は支社、支店、営業所などが多く、福岡などにある本社が佐賀県内分の求人手続きも福岡側で行うと「受理地は福岡」として算出。実際に働く就業地は佐賀で、こうした事例が倍率を下げる要因という。
 同省職業安定局は「佐賀県の要請を受け、佐賀労働局に指示して提供する参考値」と説明。全国的に算出法を変更する考えはないが、佐賀県雇用労働課は「低い倍率がUターン就職の断念などマイナスの影響を与えているとも考えられる。今後は就業地別の数値を生かしていきたい」と県のホームページで公表していくという。
(平成20年6月27日付西日本新聞朝刊から)

 なるほど、かつてのように求人票を職安の掲示板に貼り出したり、ファイルに綴じこまれた求人票を閲覧したりする時代ならともかく、全国の求人がどこでもインターネットで閲覧できるようになった時代ですから、東京の本社で札幌営業所の求人を出したってなんら差し支えはないということでしょう。実際、ハローワークインターネットサービスをみると、勤務地と受理地が異なる求人を簡単にみつけることができます。ほかにも、大都市圏では越境通勤が多いので、ベッドタウンの多い埼玉県や千葉県では失業率の低さに較べて有効求人倍率は低めに出るといったこともありそうで(どのくらい影響があるのかは知りませんが)、有効求人倍率だけをみて地域間格差を議論すると実態からずれてくる可能性はあるのかもしれません。
それにしても、0.17ポイントも違うというのはかなりの大きさで、これは佐賀県の求人数が少ないせいで、影響が大きく出やすいということなのでしょうか。いずれにしても、有効求人倍率が低いから助けてくれえという発想ではなく、実際にはもっと仕事はあるんだからどんどん来てください、という前向きな発想なのは好ましく感じます。