みなし残業をやめて生産性向上

きのうの日経新聞株式投資欄、「決算トーク」というコラムで、大塚商会の大塚裕司社長が登場しています。

 「無駄な残業が減って生産性が向上した」と笑顔を見せるのは大塚商会の大塚裕司社長。二〇〇七年十二月期から、営業職社員への残業手当を「みなし労働時間制」から実残業時間に応じて支給する制度に変えた。人件費は増えたが、残業理由の申告で業務が効率化し、販管費率は下がった。
 一日発表した〇七年六月中間期の連結純利益は創業来初の百億円乗せ。「価値のある上期だった」と振り返りながらも、「残業代の通期での影響を引き続き抑えていく」と、下期に向けて気を引き締めていた。
(平成19年8月2日付日本経済新聞朝刊から)

人件費は増えたが販管費率は下がった、ということは売上が人件費以上に伸びたということでしょう。この生産性向上が本当に残業手当支給方法の変更によるものなのか、販売増によるスケールメリットに過ぎないのかは見極めが必要なように思われます。
もっとも、経営者がここまで言うのですから、制度変更で生産性が向上したという自信もあるのでしょう。「残業理由の申告で業務が効率化」ということは、売上が増えないのに残業が増えるのは許されない、という管理になっているのかもしれません。営業職場にありがちなパターンとして、売れていないとなんとなく帰りにくくて遅くまでズルズルと在社してしまうというのがありますが、それまでしっかりカウントして残業代を払っていたのでは生産性が上がるわけがないわけで、「売れていない奴は仕事はないはずなんだからさっさと帰れ」という管理が行われているのでしょう。それが徹底されれば、みなし残業より効率がよくなるのはむしろ当然です。外回りの多い営業であれば、外回り時間帯にそれなりに残業の調整しろを持っているでしょう(だからみなし残業にするわけで)から、案外うまくいくのかも知れません。
まあ、売れていない営業にとっても、ズルズル遅くまで居残るよりは、早く帰れと言ってもらったほうが早く帰れるだけマシだという考え方もあるかもしれません。これはなんとなく、会社にいずらくなって退職に誘導されてしまうような感じもしますが…。