金融業の労働市場

これはきょうの日経から。

 金融市場の機能強化が叫ばれる日本。お手本のひとつは英国の金融街シティーだ。英市場を皮膚感覚で知る金融マンが、静かに活躍の場を広げ始めた。

 石田とともに欧州東海銀を支えた生田卓史(52)は、金融業務を強くしたいトヨタグループに請われて移った。「本気になれば新顔でも優秀な人材が採れた。邪魔もされない。労働市場の開放性こそ、国際金融都市の備えるべき機能でしょう」。生田の実感はそのまま、東京の未来への期待に重なる。
 「開放性」は人工的に街をつくるだけでは育たない市民の文化。英国を知る金融マンはそれもよく分かっている。
(平成19年5月28日付日本経済新聞朝刊から)

これは、金融業の世界ではまったくそのとおりなのでしょう。どこの企業で働いても、相手にするのは同じマーケット。仕事だってほとんど同じでしょうから、転職にともなうコストは非常に小さい。そういう世界ではよりよい条件を求めて人が動くのも当然です。いっぽうで、高度な企業特殊的熟練の形成を競争力につなげている製造業などでは、転職のコストは非常に大きく、かんたんに人も動きません。そこを混同しないことが大切でしょう。