ホワイトカラー・エグゼンプションの年収要件は引き下げられないか

ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)FAQシリーズ、まだまだ続きます。いつまで続くのだろうか・・・?

 WEの年収要件は900万円になると報道されていますが、制度導入後になし崩しで引き下げられてしまうのではないでしょうか?

今回の法律案要綱をみると、年収要件の具体的な数字は法律には書き込まれず、「適切な水準を検討した上で」省令で定めることとされています。どこで検討するかの記述はないようですが、おそらくは労働政策審議会(労働条件分科会)ということになるでしょう。
したがって、公労使の三者構成で成る場での検討を経るわけですから、少なくとも「なし崩しで」引き下げられることはないと考えてよいでしょう。
それでは、引き下げられることがないかというと、それは引き下げもありうべきことではないかと思います。実際の手順としては、最初は安全を期して高めの要件を設定しておいて、実施・運用状況をフォローアップのうえ、引き下げても問題ない、引き下げが望ましいと判断されれば引き下げるというのが現実的な手法ではないかと思います。もちろん逆もありうるわけで、要件が低すぎるという状況であれば引き上げるとか、そもそも制度自体をやめるという判断もありうるでしょう。あるいは、インフレがくればそれにあわせた改定も当然必要になってくるはずです。もちろん、検討にあたっては年収要件だけでなく、他の要件もあわせて総合的に考え、最適なあり方を模索するのが望ましいといえましょう。
有料職業紹介における求職者からの手数料徴収に関する年収要件は、当初は1,200万円に設定されていましたが、フォローアップの結果700万円まで引き下げられました。これで問題があるという話も聞きませんので、さらに下がるかもしれません。WEの年収要件も同様で、実情を見ながらファインチューニングしていくことが大切だろうと思います。