労組の街頭活動

きのうの読売新聞に、「日本の労働組合“身近さ”欠く活動 街頭デモ多い米欧と差」という解説記事が載っていました。フランスのCPEをめぐる一連の労働運動・学生運動や、アメリカの不法移民規制法をめぐるヒスパニック系労働者の活動などを紹介したうえで、日本の労働運動はデモや集会、ストライキなどの「街頭活動」が低調であると指摘し、連合の古賀事務局長のコメントを紹介しています。

 連合の古賀伸明事務局長は「労組の集会では、動員された組合員が参加することも多い。顔ぶれはいつも同じ印象が確かにある」と打ち明け、「街頭活動が沈滞するのは、日本が豊かな証拠。デモや集会を大きな力に変える妙案があれば教えてほしい」とあきらめ顔だ。
(平成18年6月14日付読売新聞朝刊から)

まあ、そのとおりなのでしょう。フランスで抗議活動に参加した若者たちや労働者たち(すべての若者や労働者が参加したわけではないようです)、あるいはアメリカのヒスパニック系労働者(こちらは「労働組合」が主導的な役割を果たしたという印象は薄いのですが)に較べれば、日本の労働者の現状は総じて見ればかなりマシだということではないかと思います。もちろん、個別には非常に厳しい実態もありますから、あくまで「総じて見れば」ですが、とにかく街頭活動が活発になるほどではない、ということでしょう。
政治学の篠田徹早大教授の「ニートやフリーター問題などで若年層の不満が蓄積しているのに、確かに労組はそれを拾い上げる力を失っている。」というコメントも紹介されています。たしかにそうかもしれませんが、それでは街頭活動が日本の若者を「拾い上げる」ことにつながるかといえば、そうでもないのではないでしょうか。日本の労組はデモや集会に代わるなにかを考え出すという難しい課題に取り組まなければならないのでしょう。