新卒採用広告特集その3

引っ張りますが(笑)、6面・7面は見開きで全18社の採用担当者のメッセージ広告になっています。もちろん各社が(おそらくは安からぬ)カネを払って広告を出したわけですから、各社の言いたいことが書かれているとみていいでしょう。ちなみに6面の見出しは「新しい力に寄せる企業の熱い思い さらなる飛躍に向け求める人材像とは」、7面の見出しは「求められるのは挑戦する気持ち共に伸びる意欲 一人ひとりの成長が企業の成長へとつながっていく」となっています。
ところが。


「求める人材像」と見出しにはありますが、具体的に応募者に求めるものが書かれているのは、実は半数の9社だけです。このほかに、「わが社の一般的な人材像」を書いているのが3社ほどあります。残りは「わが社はこんな会社で、こんなふうに人を育て、活用します」(だからわが社を受験していください)という内容に尽きています。
しかも、その「応募者にもとめるもの」はといえば、こういったものです。

「たとえ今は不完全でも、更なる飛躍を求めて熱い思いをお持ちのあなた」(コニカミノルタ
「自ら行動し、考え、前進することを通じ、会社とともに成長することを熱望する方」(スタッフサービス
「重視するのはあなた自身、そしてあなたの意欲」(野村證券
「もっと強く、もっと新しく、もっとかっこよく、を目指し、「何かをやり遂げたい」という強い思いを持った「心のエネルギー」のある人」(富士写真フイルム
「さまざまな個性を持った皆さん」(横浜銀行
「常に最先端を走りたいというアグレッシブなモチベーションを持ち、柔軟性にも富んでいる人材」(伊藤忠テクノサイエンス
「仕事を通じて互いに成長し合える」(オリエンタルモーター)
「リスクを恐れず、挑戦したことを完遂できる志高い人」(アズワン

まあ、スペースが限られているので致し方ないでしょうが、これではほとんどなにも言っていないに等しいですね。こういう人「だけ」とか、こういう人なら「絶対」という印象を与えるとしたらミスリーディングですが、それは別とすれば、これが各社のいつわらざるところなのでしょう。
私は、横浜銀行の「さまざまな個性を持った皆さん」というのが、企業の意識をかなり代表しているのではないかという気がします。もちろん、業界により、企業によって事情はさまざまに異なるでしょうが、ごく大雑把に言ってしまえば、企業は「これこれこういう人」というスペックを決めて採用するというよりは、「わが社に合った、今後わが社で伸びそうな人」を採りたいのではないかと思います。
しかし、これをみると、いったい誰が「即戦力」なんて言ったんだ、と文句のひとつも言いたくなりますね。そういえば、「何ができるか、何がやりたいのか」わかっていることが求められるような企業もないようですし(笑)。