新卒就職広告特集その2

3面には、以前このブログで疑問を呈した「働きやすい会社ランキング」が紹介されていて、ビジネスマンが最も重視するのは仕事のやりがいが54.7%で最多、次に重視するのは高い賃金が50%で最多、3番目に優先(ママ)するのが適度な労働時間、という結果のグラフが掲載されています。

…この結果から、ビジネスマンが現在、どんな環境で働いているかがわかる。つまり、彼らは休暇を取りやすく、過度な残業のない環境を求めているのだ。
(前と同じ)

違うでしょ。

そもそも、この調査自体に仕事のやりがいや賃金に関する選択肢が少ないという欠陥があって、かなりバイアスのある結果が出ていると思われるのですが、それはそれとして。
ビジネスマンは最も重視するのが仕事のやりがいで、次に重視するのが高い賃金、で、その次が適度な労働時間だということですから、やりがいのある仕事や高い賃金(この二つは連動していることが多い)のためなら労働時間が長くても仕方ないかな、というのが一般的な意識なのではないでしょうか。
で、現実には、よりやりがいのある仕事を獲得するためには、それなりの成績を残し、能力を示し、高いポジションに上らなければならないことが多いわけです。だれしもやりがいのある仕事をしたいのですから、当然ながら競争になります。もちろん、なかには休暇も取るし残業もそこそこだけど優れた成績を残す人もいるでしょうが、通常であれば、休暇や残業をある程度ガマンしてやりがいのある仕事をめざすか、快適な休暇や残業で働くかわりに仕事のやりがいはほどほどに妥協するか、ということになるはずです。アンケートに回答している人は、「今は仕事のやりがいも賃金もまあまあだと思っている。できれば、このまま順調にやりがいのある仕事を得ながら、もうちょっと休暇が取れるといいんだけどな」くらいの気持ちで答えているのでしょう。
ですから、この「働きやすい会社」ランキング上位の会社にいけば、「休暇を取りやすく、過度な残業のない環境」で、やりがいのある仕事と高い賃金が得られるだろう、というのはかなりミスリーディングな可能性が高いと思います。まあ、ほどほどのやりがいと賃金でいい人なら、たしかにランキング上位の会社は「働きやすい」可能性もありますが、でもきちんと成績を上げる人でなければ「働きやすい」諸制度は利用しにくい可能性もありますが・・・。