管理部門の効率

Bewaadさんから、6月27日のエントリにこんなトラックバックをいただきました。

…サプライサイド要因ではなく需要不足で1人あたりGDPが伸び悩んでいるとすれば(で、現在の日本はまさにそうだとwebmasterは考えますが)、それが政府のマクロ経済運営の失敗であることは否定できません。
 多くの人々にとっては1人あたりGDPといっても実感はないでしょうけれども、所得の低迷や失業率の高止まりといった形で実感せざるを得ません。その実感に比べての公務員の相対的に安定した所得・雇用に対して批判的になることは、それを「効率」の良し悪しとして語ることが適切なのかはともかくとして、あるべき姿なのだとwebmasterは思います。
 であるならやはり政府はその政策運営を改めるべきなのですが、需要不足解消じゃなくて公務員の人数・給与削減に向かっているのがなんとも・・・orz
http://bewaad.com/20050629.html#p02

(引用は最後の部分だけですので、ぜひ全文におあたりください)
これを読んで思ったのですが、実は民間企業でもけっこう同じようなことが行われているような(笑)。


たとえば業績悪化、減収・赤字決算となったときに、それが経営の失敗であるならばまず経営方針を改めるべきなのですが、現実にはそれではなく管理部門のリストラ、アウトソーシングに向かう、というのはありがちなような気がします。
なぜかと考えてみると、現状の経済不振の理由が需要不足なのか(私もそう思いますが)、「サプライサイドの『改革』が不十分だから」なのか、簡単に結論が出ないのと同じように、経営悪化の原因が本当に経営方針の誤りなのかどうかは簡単にはわからないということは当然あります。
これに対して、「売上が低下して直間比率が上がり、効率が低下している」という議論は否定しがたい(事実そうですし)ものがあります。そこで、業績悪化でいよいよ「痛みをともなう」リストラに迫られると、「あんな仕事したって売上は増えない」のに「正社員が多くて人件費が高い」ということで管理部門が「非効率だ」ということになり、人員削減やアウトソーシングの標的となるという次第です。もちろん、このように「非効率だ」といわれるときには、管理部門が実際にどんな仕事をどれだけしているかとか、どのくらい仕事の密度が高くて忙しいかとかいったことは当然ながら考慮されません。
要するに、管理部門は売上高や販売数量、品質や原価などで効率性を評価することが難しいため、「存在自体が非効率」という発想になりがちで、それが業績不振になると表面化する、というところではないでしょうか。これは公務員とかなり似た構図であるように思われます。
もちろん、管理部門にしても公務員にしても非効率やムダは当然あるでしょうし、それが目に見えるままに放置されたままでは他の部門とか国民一般とかが自分たちのリストラや負担増に納得しないというのも自然なことだと思います。とはいえ、繰り返しになりますが、管理部門においても公務員においても、その仕事の必要性に対してその費用が見合っているのかどうか、といった観点をふまえて効率を考えるべきで、仕事の量やしくみを無視して人数やコストだけを議論しても無意味だろうと思います。
自らも管理部門に籍を置く身としてはなかなか云いにくい議論ですが、まあたまにはいいでしょう(笑)。まあ、わが身を振り返ってムダや非効率がないかといわれると困りますが(笑)。