国際公共政策研究センター様から、昨日ご紹介した田中直毅ほか『政権交代はなぜダメだったのか』の出版記念講演会にお招きいただいたので行ってまいりました。著者(田中直毅先生)のご講演で、1時間の予定を大幅にオーバーして90分以上熱弁をふるわれました。印象的だったのは金融市場を適正化するためにはゆうちょ銀行の解体(少なくとも優遇の廃止)が必要であり、そのためには郵便事業会社のトップに稲盛和夫氏を招聘してゆうパック事業から撤退させるべきだと力説された部分(不採算事業を維持するために金融事業の優遇が必要になっているという理屈ですね)や、TPPはじめ通商交渉との関係で兼業農家は保護対象ではないと断言されたあたりでしょうか。田中先生=難解という先入観があったのですが今回は聞きやすく勉強になりました。しかしオーディエンスにはすでにリタイヤされたと思しき高齢の紳士が多数みられ、退職金をご自身で運用されたりしている方々なのかなあ。もちろん勉強熱心なのは結構なことですが。

産政研フォーラム94号

公益財団法人中部産業・労働政策研究会(中部産政研)様から、季刊の機関誌「産政研フォーラム」94号(2012年夏号)をお送りいただきました。ありがとうございます。中部産政研も無事公益財団法人化されたようで巻頭に加藤裕治理事長の謝辞が掲載されておりご同慶です。
ウェブサイトでの掲載はまだのようですが、近々http://www.sanseiken.or.jp/forum/index_94.htmlにアップされるものと思います。
さて今回の特集は「競争力の本質−仕組み・制度・インフラ」で、前回に続いて「競争力の本質」シリーズ第2弾となっています。今回は渡邊頼純先生の理路整然としたTPP推進論や橋本久義先生の豊富な事例が盛り込まれた中小企業論など読み応えのある内容となっています。大竹文雄先生の連載は「司馬遼太郎の経済観」で、司馬遼太郎氏の著作や言論にみられる租税観、経済観、市場観を紹介しながら「正しい競争」の重要性を説いておられます。

日本労働研究雑誌624号

労働政策研究・研修機構様から、「日本労働研究雑誌」624号(2012年7月号)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2012/07/
今回の特集は「働き方の多様化と労働者概念」ということで、久々に?法学者が中心のラインナップになっていますが、経済学者(安藤至大先生)や社会学者(佐野佐藤博樹先生チーム)の論文も加えられて充実した内容になっています。

21世紀政策研究所『農業再生のグランドデザイン』

21世紀政策研究所様から、報告書『農業再生のグランドデザイン−2020年の土地利用型農業』と21世紀政策研究所新書『日本農業再生のグランドデザイン−TPPへの参加と農業改革』をお送りいただきました。ありがとうございます。
いずれも、同所のウェブサイトで全文がお読みになれます。
http://www.21ppi.org/pdf/thesis/120703.pdf(報告書)
http://www.21ppi.org/pocket/index.html#27(新書)
新書のほうは報告書をもとにしたシンポジウムの記録ということのようです。中身はまあ想像がつくとおりなのですが、結局はこれで既得権を失う人にどう補償をするかがたぶんかなり重要な論点で、個別所得補償制度ってそのためのものだったと思うのですが。