希望格差(hope gap)

この16日に終了した今年のILO総会で、"Promoting youth employment"が議題のひとつとして取り上げられました。今回は一般討議なので、包括的な論点整理にとどまっているようですが、雇用政策にとどまらず、教育政策や、さらに広く経済政策や社会政策も含めた総合的な施策の必要性が確認されたことは大きな成果とみるべきなのでしょう。
さて、これと並行して、「若年雇用ネットワーク(YEN)」という国際組織(ILOのほか、国連事務局と世銀がバックについているらしい)のハイレベル会合も開催されましたが、そこでは「Closing the "hope gap"」というスローガンが掲げられているのが目をひきます。
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/features/05/ilc_yen.htm
ミラーサイト
http://www-ilo-mirror.cornell.edu/public/english/bureau/inf/features/05/ilc_yen.htm
"hope gap"というのは「希望格差」と訳せるでしょうから、即座に山田昌弘氏の「希望格差社会」を想起させます。この"hope gap"という用語が従来から使われていたものなのかどうか、山田氏の著作と関係あるかどうかはわかりませんし、山田氏のいう「希望格差」と必ずしも同一ということでもなさそうですが、いずれにしても山田氏の本がいいところをついていたことは間違いなさそうです。
ちなみにこの山田氏の本は大きな話題になり、すでにあちこちで紹介されていますので、内容についてどうこういうのはいまさらの感がありますが、私はこの本に関しては、「いかにあきらめさせるかが大事」という非常に「言いにくい」、しかし非常に重要なことをはっきりと提示している点で好感を持っています。もちろん、こうした率直な物言いには「パラサイト・シングル」と同様に、拒否反応の強い人も多いのでしょうが。

希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く

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連合、郵政職員を守るために法廷闘争に乗り出す

郵政民営化法案の審議が山場を迎えている、というニュースを見ていて思い出したのですが、月末の日経新聞でこんなニュースが小さく報じられていました。

 連合の笹森清会長は29日、郵政民営化法案が「民営化などの見直しはしない」と定めた中央省庁改革基本法に違反しているとして、国を相手取り違憲の確認を求める訴訟を東京地裁に起こした。訴状などによると、内閣に法律を誠実に執行することを義務付けた憲法73条に抵触すると主張している。
(平成17年6月30日付日本経済新聞朝刊から)

これはいったいなんだろう、と思ってそのまま忘れていましたが、連合のホームページをみると、事務局長談話まで発表する気合の入りようです。

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