清家篤『雇用再生』

慶応義塾長の清家篤先生から、ご著書『雇用再生−持続可能な働き方を考える』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

雇用再生 持続可能な働き方を考える (NHKブックス)

雇用再生 持続可能な働き方を考える (NHKブックス)

我が国労働市場・雇用管理の現状と問題点、そして現実的な解決の方向性を明快にまとめた本で、労働問題を論じる上でたいへん有益な本だと思います。「日本にいるとなかなか気づかないが…新規学卒一括採用は大変によくできた制度慣行であり、これは安易に壊してはならない仕組みである(p.68)」とか、「…もっとよい労働条件さえあれば人は移動していくということだ、わざわざ解雇制限の緩和などしなくても、衰退産業や衰退企業に見切りをつける人は当然のことながら、粛々と転職しているのである。流動性が低いのは解雇規制が厳しいからではなく、行く先によりよい労働条件の企業がないからというほうがむしろ正しいと考えるべきだろう(p.104)」など、まことに同感できる内容です。また、高年齢者雇用については、定年制の廃止・年齢差別の禁止といった極論ではなく、定年制を容認したうえでその延長を主張しておられるのも目をひきました。