義務教育についての提言

まあ、「改革」という流行りの?ことばを使うまでもないということか・・・。
私も若干の関与をなした経団連の「義務教育についての提言」が先日発表されました。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/018.html
私として関心のあるところは、当然ながら人事管理の部分です。

教員評価については、教育の質は教員の質で左右されることから最も重要である。しかし、依然として多くの自治体では、校長が一方的に評価するのみで、(1)教員の指導などには活かされていない。さらに、(2)教育の受け手、とりわけ教員と日々接している児童・生徒が評価に参加しない、(3)評価結果が処遇に反映されないといった自治体も存在する。また、(4)人事評価の経験を積むことなく、校長になってはじめて全教員を評価する立場におかれるという問題も存在する。
経団連「義務教育についての提言」から)

教員評価というのは、そもそも教員の仕事の「現場」が「教員一人と児童・生徒たち」という閉鎖空間であり、極論すればそこで行われる授業についてはそれを実施する教員以外に知る人もない、という点でたいへん難しいものがありそうに思います。まあ、当該教員が教えた児童・生徒の学業成績(の動向)をみることで相当程度は判断がつきそうですが、しかしそれだけで教員を評価することが公正、あるいは効率的かというとそうでもないでしょう。
となると、児童・生徒にどれほどの評価力があるかは不明ですが、やはり児童・生徒の評価、あるいは保護者の評価などをみるしかないのでしょうか。
そして、処遇への反映以上に重要なのは、評価を人材育成に生かすことではないかと思います。これは経団連が「教員の指導などに生かされていない」と云っているとおりでしょう。
とりわけ重要だと思うのはこの部分です。

教員評価結果を教員の処遇や配置などに反映する。
教員評価結果を給与に反映させる。なお、その完全な実現のためには評価結果に基づく職能等級制度を導入しなければならない。職能等級の高い教員は、組織上、経験の少ない教員の指導や、校長や教頭を補佐し、校務の調整や進行管理などの役割を担う。
地域の教育水準の底上げを図る観点から、評価の高い教員を困難校に配属する等の対応を行う。

賃金、給与に反映するだけでなく、処遇、役割にしっかり反映し、高い評価を得た教員がそれにふさわしい仕事、役割にあたるようにしていくことが大切なのではないでしょうか。それは本人の能力を高めるとともに、後進の育成にも資していくことになるはずです。