アスリートのセカンド・キャリア

きょうの読売新聞夕刊から。

 スポーツ選手の就職を支援する動きが、人材サービス業界で活発化している。入社後も競技生活を続けられるよう勤務条件が緩やかな企業を紹介したり、引退後を見据えた求人情報誌の配布や、体育系大学生だけを対象にしたユニークな就職フェアも開かれている。
 金融機関系システム会社で、1月から派遣社員として働いているハニカット陽子さん(31)は、現役のアスリートでもある。女子走り高跳びの日本代表として、1998年にはアジア大会で優勝し、シドニー五輪でも決勝まで進んだ。今年もカタールで開かれるアジア大会への出場を狙う。
 勤務は平日午前10時からだが、スポーツジムや競技場で数時間のトレーニングを続けるため、終業は午後4時と早めだ。残業もほとんどない。
 この好条件は、ハニカットさんの登録している人材派遣・紹介会社「パソナスポーツメイト」が、派遣先との交渉で実現させた。…
 ハニカットさんの場合、引退後も見据えた就職だった。“フルタイムのアスリート”だった分、「引退後でも生かせる仕事の技能を身につけたい」と考えたという。
 パソナ側も、ハニカットさんの例にとどまらず、スポーツ選手の引退後まで視野に入れながら、パソコン操作などのビジネス研修を行っている。…
 転職支援会社「リクルートエイブリック」は昨年10月、プロアスリートキャリア支援室を新設した。プロ野球選手の再就職支援が目的で、日本プロ野球OBクラブが昨年12月に発行した、選手向けの求人情報誌の編集を担った。…「プロ選手に備わった体力や目標達成意欲には、企業も期待を持っている」(同社)といい、保険の外交など営業職の求人が目立つ。…同社は「スポーツの経歴を、職にも通じるキャリアに育てたい。転職可能と認知されれば、プロ選手になりたいという若者の増加にもつながる」としている。
(平成18年2月28日付読売新聞朝刊から)

スポーツを志す若者は多いでしょうが、その中で一流選手、プロ選手になれるのはほんの一握りでしょう。さらに、現役引退後も指導者や解説者としてスポーツで生計を立てられる人となるとごくごく一部に違いありません。もちろん、誰しもそれを目指してその道に入るのでしょうが、やはり、一部の成功者以外は引退後の進路について明るい見通しが持てないというのでは、若者が目指すに値するキャリアであるとはいえないのではないでしょうか。
そういう意味で、スポーツを含むキャリアデザイン、あるいはスポーツと仕事・キャリアの両立といったことを普及促進していくことは、スポーツ振興のためにも大切な取り組みなのかもしれません。