義務教育に企業の物差し!?

 企業が人事考課などに採用している「コンピテンシー」(能力)の考え方は義務教育にも応用できる?――。学習指導要領改訂の方向性を論議している26日の中央教育審議会・教育課程部会で、そんな議論が交わされた。委員からは「きちんと取り組めば成果が上がる」「日本の教育現場にはなじまない」などと賛否両論が出た。
 文部科学省がこの日、同部会に提出した論点案に今後、重点的に育成すべき子どもたちの力の一例としてコンピテンシーを盛り込んだ。企業は「会社が社員に発揮を期待する能力」の意味で賃金の物差しに使うが、同省はOECD経済協力開発機構)の定義に基づき「知識や情報の活用能力」「円滑に人間関係を構築する能力」などを総合した力だとしている。
(平成17年9月27日付日本経済新聞朝刊から)

一瞬驚きましたが、日経のトンデモ記事の可能性大。資料をみていないのでなんともいえないところはありますが、OECDは教育問題にも強力に取り組んでおり、学校教育が形成すべき「コンピテンシー」についても発表しています。「企業が賃金の物指しに使う」(現実には一部の企業にとどまりますが)コンピテンシーとは意味が異なる(表面的には似ていても)のではないでしょうか。
また、コンピテンシーは賃金だけでなく採用や配置に活用されることも多い(とくに本家の米国では)と思います。そういう意味では、「企業が賃金の物指しに使う」と言い切れるかどうか、若干疑問です。