パブコメ

厚労省のホームページに、「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」中間取りまとめに対するパブコメの結果が公表されています。
連合の事務局長談話がそのまま出ているいっぽう、いささか感情的な意見もそのまま掲載されていたりして興味深いものがあります。もっとも、常識的に考えて、こういう場では(分けるとすれば)労働サイドからの「こんなに困っている」「こんなひどい目にあっている」といった意見のほうが声高に主張されやすいでしょうから、かなりのバイアスがあるはずで、これを政策検討の参考にするというのもなかなか難しい作業だろうなあという感じはあります。


中でも断然目立っている(笑)のがこれです。

  • 労使当事者の自主的決定を促進する労働契約法制を具体化し、事前規制・調整型社会から事後監視・救済型社会を目指すとの中間とりまとめの立場は、法と監督行政による規制から労使当事者を遠ざけ、労使自治の名の下に、使用者が一方的に労働条件の変更・決定ができるようなシステムを作ることにつながる。研究会は、使用者によって一方的に労働条件が決定されている実態を踏まえ、労使が実質的に対等な立場で労働契約の締結し、労働者が真に自律的な働き方ができるよう、中間取りまとめの内容を抜本的に見直すべきである。(労働組合83件、個人7件)
  • 中間取りまとめは、全体として、労働法制の規制緩和と企業のリストラや合理化を促進するものであり、このような労働契約法制が整備されたならば、働くものの雇用と労働条件は根底から破壊されることとなる。したがって、研究会の検討課題を一旦白紙に戻し、労働条件の一方的不利益変更や一方的な解雇など、企業の無法・脱法を規制し、実質的な労使対等が実現できるような労働契約法制の制定について再検討するべきである。(労働組合57件、個人264件)

http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p0629-1.html

これは明らかに「組織票」という奴ですね。「労使が実質的に対等な立場で労働契約の締結し、」というのは「ママ」なのだろうか(笑)。まあ、数を頼むというのは労働運動の基本ですからこういう運動も当然ありうるでしょうが、オールスターのファン投票じゃあるまいし・・・という感もなきにしもあらず。
それから、学者からのコメントが非常に多いように見えるのもちょっと意外で、これは契約法制が学界でも注目を集めていることの反映ということなのかな、と思ったのですが、「学者のコメント」は50件以上あるのに、実際にコメントを出したのは10人となっていますので、要するに一部の学者が長大なコメントを出したということなのでしょう。
パブコメ自体はおおいに結構なことだと思いますが、担当者のご苦労が察せられます。