「財界=厚労省が談合」(笑)

週刊ポスト」誌の電車の吊り広告で、『財界=厚労省が談合「サラリーマンから残業手当を奪え!」』というのをみかけました。
うへえ、と思って図書館で(ケチ)読んでみたら、「昨年10月に経団連会長が内閣改造後に新閣僚・自民党三役を訪問した」ことと「今年3月にホワイトカラー・エグゼンプション制の検討を含む規制緩和3ヵ年計画が閣議決定された」ことと「4月に厚労省が研究会を発足させた」ことと「6月に経団連ホワイトカラー・エグゼンプション制に関する提言を発表した」こととをつなぎ合わせて、「財界=厚労省が談合」して、ホワイトカラー・エグゼンプション制が導入されることが決まった(笑)という書きぶりです。ちなみに、時短促進法の改正もそのための地ならしなんだとか(爆)。いやはや、こりゃまたモノ凄いストーリーですな。


まあ、まともにコメントするのもバカバカしいのですが、経団連が提言を出せばそのとおりになるのなら、ホワイトカラー・エグゼンプションはとっくに導入されているでしょう(笑)。また、経団連の提言をみると、賃下げや長時間労働を意図したものではないことも書かれていますし、対象範囲も適切でなければならないとか、健康確保に十分な配慮が必要といったことも書かれています(まあ、このあたりは書かれていても信用できないということかもしれませんが)。まあ、エグゼンプション制を適用すれば平均的な残業代に見合うくらいの「エグゼンプション手当」のようなものを入れるのが普通でしょうから、まるっきり「奪われる」ということにはならないと思うのですが。
また、時短促進法はもともと時限立法で、今回が2回めの延長ですが、経団連はそもそも延長そのものに反対していた(笑)わけで、放置すれば廃止される法律を延命させたことが「労働時間延長の地ならし」だと言われたのでは官僚も気の毒です(まあ、いちいち気にしてはいないでしょうが)。
それでも、こういうものに一定のニーズがあるのでしょう。私たちは、「経営者が官僚を接待して政治家に献金して、結託して庶民を苦しめる」というお話しが、こんな荒唐無稽なものですら読んで嬉しくなってしまうくらいに大好きなのですね。
ところで、中でもいちばん受けたのがこのくだりです。

 日本大学副総長兼経済学部長で労働法の大家・牧野富夫教授は厳しく指摘する。
 「これまでの労働基準法は、…」

このお方、その筋では有名人ですが、それにしても経済学部長が「労働法の大家」ってのはいったいなんなんでしょうね。労働法の大家が経済学部長になれちゃったり、経済学者が労働法の大家だったりと、特殊な世界だけに、「長」やら「大家」やらいうのは、学問的なレベルとは無関係に決まるみたいです。あるいは、全体の水準がものすごく低いのか?まあ、私には謎です。