政策努力で出生率2.0も可能

今朝の日経新聞によると、OECDが政策努力によって日本の出生率は2.0にまで引き上げられるという試算を発表したそうです。

 日本の出生率は約2.0まで引き上げられる――。経済協力開発機構OECD)は、日本の合計特殊出生率について、保育所の増加や育児経費の負担軽減といった政策努力によって現状の約1.3から約2.0まで0.7程度引き上げられるとの試算を明らかにした。
 試算は一日閉幕のOECD社会保障相会合で公表した「拡大する機会」と題する報告書の中で明らかにした。例えば保育所を増やして、保育所に入れずに待機している子供をOECD加盟国で最も恵まれているデンマークスウェーデン、米国の三カ国並みに減らすことにより、出生率は0.38上昇するという。さらに税制優遇や児童手当などの手段により、夫婦と子供二人の四人所帯の育児経費の負担を夫婦だけの世帯並みに軽減することで0.27の出生率上昇が見込めると指摘する。
 報告書は、日本では政策努力によって出生率を引き上げる余地が大きいことを示しており、政府や企業に一段の努力を促す内容となった。
(平成17年4月2日付日本経済新聞朝刊から)

こらこら、保育所を増やすだの税制優遇だの児童手当だの、全部政府のやるべきことじゃないのかい。どうして「政府や企業に一段の努力を促す内容」なのかね。ただ、

 さらに女性の就労率の高い国ほど出生率が高くなるという傾向も指摘している。OECD社会政策課のエコノミスト、ウィレム・アデマ氏は「子育て期間中の残業縮小や父親の育児休暇取得の奨励など、女性が柔軟に働けるように男性を含めた職場慣行を変える試みに政府ももっと力を入れるべきだ」と提言している。
(上と同じ)

ということですから、この点に関しては企業の協力も不可欠ということでしょう。もっとも、育児時間や育児休業もすでに法制化されていて、男女を限らず申し出があれば原則として企業は拒めないわけなので、それ以上は本人と政府の問題のような気もしますが。OECDエコノミスト氏も「政府ももっと力を入れるべきだ」と言っているわけで、「政府『も』」というからには、企業はすでに力を入れているということだと思うのですが。
この試算がどこまで当たっているのかどうかはわかりませんが、いずれにしても、いまの日本政府の「少子化は企業のせいだから企業にもっとあれこれやらせよう」という発想は考え直すべきだということを示しているように思います。