業績回復の恩恵

今朝の日経新聞によれば、いわゆるサラリーパーソンの8割が、「労働条件面で企業業績回復の恩恵を被っていない」と思っているのだそうです。ま、決算では最高益が続出しているかたわら、労働条件では「ベアゼロ」が相次いでいるわけですから、そんな印象を受けるのも当然のようにも思えます。時あたかも春闘を控えたこの時期、よけいそんな気分になりやすいということもあるのでしょう。
実際には、経団連もいうように、業績好調企業は賞与をはずんでいます(好調組の代表格であるホンダの昨年の賞与は、「年収300万円」の本がブームになるこのご時勢に、ボーナスだけで組合員平均243万円だということです)。賃上げにしても、物価は下がり続けているのですから、ベアゼロでも実質では賃上げしていることになります。もっといえば、とりあえず雇用の心配がそれなりに遠のいたというのもある意味では大きな労働条件改善でしょう。
それでも8割もの人が「恩恵を受けていない」というのは、ひとつには企業規模、地域による格差の存在が考えられるでしょうが、それ以上に、過去何十年にもわたって「春闘といえばベア、労働条件といえば賃金」という固定観念を持ち続けてきた、その慣性がいまだに強く残っているということなのかもしれません。