本が出ました。

昨年から今年にかけて、財務省・財務総研の団塊世代の退職と日本経済に関する研究会」の委員をやっておりました。その報告書(白表紙)に論文を載せたのですが、それが日本評論社から出版されました。奥付には12月10日となっていますが、もう売ってるみたいです。
樋口美雄・財務総研編「団塊世代の定年と日本経済」
(第5章を書いてます)
研究会名と書名が微妙に違うところがワケありげですね。
これは研究会でも議論があったのですが、要するに研究会としては、団塊世代の引退ではなく、退職、それも60歳定年での退職を迎えることに問題意識を持つのだ、ということです。もちろん引退したい人は自由ですが、しかし引退したくない、まだ働きたい人は働けたほうがいい。さらに、財務省ですから(笑)当然、なるべく多くの人に、引退せずに働いて、納税してほしいということもあるでしょう。そこで、「退職」だとまだ「引退」というニュアンスが強いので、ちょうど継続雇用の法律もできたことでもあり、再雇用や定年延長などで「引退しない」という含みのある「定年」という言葉に変わった、というところではないかと思います。
おそらくは、そもそも企業の定年制自体がけしからん、という意図もあるのかも。
ところで私の書いた部分は、要するに勤務先の会社の事例紹介で、他の先生方の部分のような学術論文という感じのものではありません。まあ、人事制度だけではなくて、生産管理とか、安全衛生、健康づくりといったところまで手を広げているのと、各施策を個別にみると別に団塊世代を意識しているわけではないけれど、全体としてみると、結果として団塊世代対策としてもけっこう体系的になっています、というのが一応それなりに目新しいかな、というところがミソで、まあ単なる事例紹介ではないぞ、という程度のものです。
もっとも、健康づくりみたいに、青壮年段階からやらなければダメなものもあって、そういうのはいまさら慌てても手遅れなんですけれどね。