2008年から2年間にわたって開催された連合総研の「イニシアチブ2008研究委員会」(途中から2009になりましたが)の成果が出版物としてまとまりました。
- 作者: 水町勇一郎,連合総研
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2010/02/13
- メディア: 単行本
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そのもとになったディスカッションペーパーについては、かつてこのブログでもご紹介しましたので、リンクをはっておきます。もっとも、あちこち手を入れていて、かなり違ったものになってはいますが。
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20090825
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20090826
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20090828
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20090831
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20090901
まあ、要するに水町先生の白亜の大殿堂は本当にすばらしいし、賞賛を惜しまない(いや本当に)のではありますが、しかし今あるしもた屋を全部つぶさなければ作れないわけで、それには相当のコストも時間もかかるでしょうし、おうちがなくなっているあいだに雨に濡れてかぜをひいたり肺炎になったりしたら大変だし…。で、作り直してみたら、実は長年かけて労使が共同で作り上げ、狭いと言っては継ぎ足し、雨漏りがすると言っては穴をふさいできたかつてのあばら家のほうが、見栄えは悪いし設計思想はメチャクチャであちこち矛盾しているけれど住みやすかった…ということになりはしませんでしょうかと。一度つぶして新しいものを作ってしまったら、元にもどすのはとても難しいわけですし、やっぱり白亜の大殿堂はその設計図をすばらしい美術品として鑑賞するにとどめたほうがよろしいのではないかと。というようなことを申し上げたいわけです。
で、実はこの本にはディスカッションペーパーにはなかった水町先生による終章が付されており、ディスカッションペーパーをお持ちの方でも(というか、連合総研のサイトで公表されていますがhttp://rengo-soken.or.jp/report_db/pub/detail.php?uid=200)、ここだけでも新たに読む値打ちがあります。その中ではあらためて私の章に対する法学的な解説もしていただいており、無知で盲目な哀れな迷える子羊(というには図体も態度もデカイですが)を導こうとしていただいています。水町先生の寛容さには本当に感服するほかないのですが、法学者と実務家の対話の難しさも改めて感じました。