久米郁男「労働政治」

中国出張に持っていった本です。

労働政治ー戦後政治のなかの労働組合 (中公新書 (1797))

労働政治ー戦後政治のなかの労働組合 (中公新書 (1797))

労組の政治活動を政治学の立場から整理した本で、戦後から「連合」成立までの歴史を中心に、労組が政治活動に取り組む意味の政治学的な解説や、労組リーダーへのサーベイ結果なども紹介され、たいへん面白く、興味深く読みました。企業の労務担当者の多くは、かつての同盟は政治的にも経済合理性路線でそれなりにうまくやっていたのに、連合で官公労組と一緒になってからおかしくなった、という印象を持っているのではないかと思いますが、そうなるに至った事情が歴史的経緯に沿ってわかりやすく解説されているように思います。
「労組の政治活動」については人事・労務担当者にとって有益な参考書がほとんどない(それどころか、労働運動そのものについてもすぐには手頃なものは見当たらない)というのが実情ですので、この本はたいへん貴重ではないかと思います。まあ、新書のせいか若干議論が単純化されすぎているかな、という印象もあり、現実に労働運動に携わっている人にすればいろいろ言いたいこともあるのだろうとは思いますが、まずは多くの人事・労務担当者(余計なお世話ながら、労働関係者にも)に広くお勧めしたい本です。
余談ながら、自分の政治的立場に一致しないものは認めないという人たちからみれば、非常に不愉快な本ではあるのでしょうねえ。おそらくそちらの方面からは叩かれる一方で、それほど注目して賞賛してくれる人もあまり多くはなさそうですから、ある意味損な分野なのかもしれません。労働運動の研究者がどんどん減るのも当然ということになるのでしょうか。もっとも、そちらの方面から叩かれても特段痛くもなければ弊害もなさそうではありますが。いやこれは余計なことでした。

パートにボーナス

きのうの日経新聞に載っていました。

 りそなグループは今月半ばにも、邦銀で初めてパート社員にボーナスを支払う。…ボーナスの対象になるのは投資信託や保険、外貨預金を外回りで営業する「渉外スタッフ」と呼ぶパート。ほとんどが女性で、40歳代以上が多い。
 例えば、投信を5億円分販売し、販売手数料が1.5%だった場合、会社には単純計算で750万円の収入がある。このうち一定割合を販売を担当した渉外スタッフに還元する仕組みで、ボーナスとする。7月支給分は昨年10月−今年3月までの営業実績に基づいて計算する。
 今回、ボーナスをもらえるのは渉外スタッフのうち6割程度で、平均では7万−8万円程度。中には100万円を超える人もいるという。渉外スタッフの年収は平均300万円弱で、ほぼ同じ仕事をしている地域限定職の正社員が同400万円強のため、ボーナスで差を埋め合わせる計算だ。
 りそなはパート比率を全社員の半分にする計画を掲げており、ボーナス支給はパートの強化策の一環だ。
(平成17年7月5日付日本経済新聞朝刊から)

うーん。パートにボーナス、というといかにも珍しい話に聞こえますが・・・。

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