八代尚宏『「健全な市場社会」への戦略−カナダ型を目指して』

「健全な市場社会」への戦略

「健全な市場社会」への戦略

「キャリアデザインマガジン」のために書いた書評です。hamachanさんが辛辣に評しておられる先生ですが、この本は全部とはいかないまでも相当部分は納得いく内容だと思います。



 著者は規制改革会議などで活躍し、現在は経済財政諮問会議の民間議員として「構造改革」を主導する、言わずと知れた規制改革のチャンピオンである。この本もタイトルのとおり政策論、それも経済政策論を中心とした政策論の本である。したがって、一見、キャリアデザインとの関係はみえにくい。しかし、目次に並んでいる「改革」のメニューをみると、具体論の最初にきているのが「働き方の多様化と「労働契約法制」」であり、続いて年金・医療などの社会保障改革や少子化対策、教育改革などなど、職業キャリアや人生キャリアに関わりの深いテーマが目白押しだ。多くの人は、キャリアデザインを考える際には現行の社会制度を前提にしているだろうから、その前提が変わることの影響は大きいだろう。

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柳沢厚労相に不信任決議案

野党が不信任決議案を提出するそうです。

 民主、社民、国民新の野党3党の幹事長が20日午前、都内のホテルで会談し「女性は産む機械」と発言した柳沢伯夫厚労相に対する不信任決議案を提出することで一致した。ただ、提出時期については、今後の国会審議の状況などを見極めて判断することになった。
(平成19年2月20日産経新聞夕刊から)

まあ、「機械」失言に加えて、その後も慎重さを欠く発言が続いているようなので、不信任決議案くらいは出されても致し方ないところでしょうが、それはそれとして、筋論で行けば久間防衛相の不規則発言のほうが国益を損ねるという意味でははるかに罪が重いですし、閣僚としていかがなものかと思いますが、こちらは放置なんでしょうかねぇ。厚労相のほうは世間にわかりやすく批判できて情に訴えやすいので不信任決議案を出す、防衛相のほうは発言内容がイラク戦争批判などなので不信任決議案を出すとかえって世間から不評を買う可能性があるので出さない、というのは作戦としてはありなんでしょうが、いかにも大衆迎合的で筋が通らないような気もするのですが。こんなこと考えるほうがバカなんでしょうか。