ノーネクタイは気が引ける?

 きのうの毎日新聞によれば、エアコン大手のダイキン工業が実施したインターネット調査の結果、「8割はクールビズに賛成だが、実践したことがあるのは男性の約3割だけ」という実態が判明したそうです。

 調査は6月10〜12日にインターネット上で実施し、20〜50代の会社員男女計800人が回答した。男性のクールビズが広まることについては、「非常によい」「まあよい」の回答が計80%に上った。
 ところが、男性回答者に実際に仕事で着ている夏の服装を尋ねると、「ワイシャツにネクタイ」「スーツにネクタイ」が計61%。「ワイシャツにノーネクタイ」「カジュアルウエア」の計28%を大きく上回った。
 クールビズにできない理由(複数回答)は、「取引先に不快な印象を与える気がする」(40%)「会社の規則」(32%)「軽装は許されない雰囲気が社内にある」(28%)など。ところが、クールビズ経験者たちに仕事上でトラブルがあったかどうかを聞くと「ない」が89%と圧倒的だった。ダイキン工業は「クールビズに腰が引けるのは、実は本人の気持ちの問題が一番大きい」と分析している。
(平成17年7月6日付毎日新聞朝刊から)

男性がどのくらい賛成しているのかはわかりませんが、まあ回答者も男性の方が多いことは容易に想像できますし、なんとなく女性のほうが賛成者は多そうですが、男性も80%とはいかないまでもかなりの高率だろうとは思います。
「実は本人の気持ちの問題が一番大きい」というのは、きっとそうなんだろうなあと思います。こういうのは、「クールビズでもかまいません」ではダメで、「クールビズにしてください」「クールビズにしなさい」にしないとなかなか変わらないのではないでしょうか。まあ、ネクタイ業界のことを考えるとそこまでは難しいというのもわかりますが・・・。
しかし、この「実は本人の気持ちの問題」というのは、年次有給休暇の取得促進とかにもある部分通じるような気がしますね。

高田里恵子「グロテスクな教養」

中国出張に持っていった本です。実は別の本を買うつもりだったのですが、隣に積んであったこの本の方が面白そうに思えて、ついつい予定変更してしまいました。

グロテスクな教養 (ちくま新書(539))

グロテスクな教養 (ちくま新書(539))

まことに広汎な史料・文献の渉猟をもとに「教養」観を多面的に論じた本で、どれほど理解できているのかはわかりませんが、知識源という点に限ってみてもとても面白く読めましたので、一応予定変更は正解だった、ということでしょうか。一部、そのデータ分析に対する疑問が多く指摘されている佐藤俊樹(2000)『不平等社会日本』(中公新書)を無批判に紹介しているのはどうかな、とも思いましたが、これは内容が正しいかという議論より、「そのように主張する本が出た(そして、売れた)」ということがこの本の議論にあたっては本質的なのかもしれません。
著者はこの本について「読んで『いやーな気持ち』になる本」と述べていますが、そんなに「いやーな気持ち」になるでしょうか?私は別に著者の所論に不快感は覚えませんでしたし、多々引用・紹介されている「いやったらしい」独善的言説についても、笑いこそすれさほど不快には感じませんでした。ということは、やはり私は著者の意図を理解していないのでしょうか?私には、読んで「いやーな気持ち」になる本というよりは、著者が書きながらいやーな気持ちになっている本という印象なのですが・・・。

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