国内どこでも勤務 理由不問

 本日は小ネタで、今朝の日経の記事に対する難癖です(笑)。パナソニックHD子会社が理由不問・手続きなしで国内どこでも勤務できる制度を導入したとのことで、こんな記事になっています。一昨日のネタに較べると少し大きめの扱いです。

…理由は不問で、半月までなら手続きも必要ない。…新制度を導入したのは電子部品を生産するパナソニックインダストリー(PID)で、国内で働いている約1万3千人が対象となる。
 各地にあるPIDのオフィスを使うかリモートワークか選ぶ。PIDのオフィスに出社が必要になれば交通費を支給する。育児や介護といったライフステージの変化や海や山に近く趣味が楽しみやすいなど、個人の都合を優先できる。…制度の利用を上長がいったん了承していれば、働く場所を変える際に申請書を出すなどの手続きが必要ないのが特徴という。
 これまでも家族の介護が必要な社員らに限り別の場所で働くことを認めてきた。新制度の導入により働く人の幅を広げ、職場のダイバーシティー(多様性)を増す。拠点が多い関西以外の地域で新卒採用をしやすくする狙いもある。…
(令和4年10月21日付日本経済新聞朝刊から)

 同社は第7回HRテクノロジー大賞優秀賞を受賞したり国内主要製造拠点のバリアフリー化を打ち出したりしている先進企業で、この取り組みは理由を限って認めていて問題ないなら理由不問でいいだろうという割り切りでしょうか。私としては「育児・介護のような正当な理由があればいいが趣味遊びのためというのはけしからん」というよく言えば勤勉、悪く言えば石頭な考え方はいいかげんにしてはどうかと思っているので大いに賛同するところです。
 ただまあ記事はやや盛り過ぎの感もあり、包括的な許可のうえで半月までなら手続不要というのはそれほど特徴的な感じはしません。リモート勤務を採用している企業で、いちいち「この日はリモート、ここからここまではオフィス」とか申請書を出させるのが一般的だという感じはあまりしないのですがそうでもないのかな。逆に実務としてはこの事例でも「出社が必要になれば交通費を支給する」となっているわけで、これは反射的に出社したときには交通費の金額を届出るなどの手続を要するということでしょう。入退場の記録があれば定額を支払うくらいに割り切れば手続不要かもしれませんが。
 もう一つ思ったのが「国内で働いている約1万3千人が対象」というところで、もちろん制度の建前としては国内全員が対象となっているかもしれません。とはいえ同社は国内に27製造拠点を有する堂々たる大規模製造業であり、まあこの手の製品の生産は大幅に自動化されているとは思いますが、同社の採用情報のページを見ても(https://www.panasonic.com/jp/industry/recruit/productflow.html)リモートでは難しそうな仕事というのも相当にあると思われます。それは確かにそうした仕事に従事している人でも書類作成とかデータ集計とかで月に1日くらいはリモート勤務が可能でしょうが、無理してそうするほどのこともなく、どうしても自宅にいたい日というのがあれば同社のようなホワイト企業であれば年次有給休暇で対応するのではないでしょうか。
 まあでも私としては「生産現場には利用しにくいのにエンジニアやホワイトカラーが便利に利用するのは不公平だ」というのもそろそろやめていいよねと思っているので、この程度のことで四の五の言うことはないかもしれませんね。好事例であることは間違いないので、大いに活用されてエンゲージが高まることを期待したいと思います。