産政研フォーラム夏号

 (公財)中部産業・労働政策研究会様から、『産政研フォーラム』夏号(通巻130号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。
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 今号の特集は「ウィズコロナ時代の新しい働き方」で、鶴光太郎先生、玄田有史先生が論文を寄せられています。鶴先生はテレワークを取り上げられ、現状と今後の課題・展望について論じておられます。途中で「テレワークを推進するためにはジョブ型雇用にしなければならないとか、…成果主義にしなければならない(とかいう)論調が多い」が「まったく意味のない議論」であり、「テクノロジーが…問題を解決することで「日本型テレワーク」は十分可能である」と喝破しておられるのはまことに胸のすく思いです。
 玄田先生は労働市場の動向、特にコロナ禍で労働市場から退出した「働き止め」に着目して分析しておられます。その上で、不安やリスクと対峙するためには従来から労働経済学が指摘してきた「異常と変化への対応」が引き続き重要であり、その上でのキーワードとして「ブリコラージュ」「マドリングスルー」などを紹介されています。「ブリコラージュ」は『構造と力』やらなんやらとともに学部時代を過ごした世代には懐かしいですね。
 本誌の呼び物、大竹文雄先生のロングラン連載「社会を見る眼」では現状維持バイアスが取り上げられ、「悩んだ時には変化を選んだ方が幸福度が高い」と呼び掛けておられます。