ビジネスガイド1月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』1月号(通巻896号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

ビジネスガイド 2021年 01 月号 [雑誌]

ビジネスガイド 2021年 01 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/12/10
  • メディア: 雑誌
 今号の特集は「コロナ禍の特例を「元に戻す」際の法的留意点」と「派遣労働者の待遇決定」です。緊急事態宣言下で急拡大したテレワークや時差出勤などが解除後に縮小に転じていることは随所で指摘されていますが、従来なかった状況だけにあまり例のない紛争も想定されます。本誌でもいくつかの相談事例が紹介されていますが、判断に迷うケースもあり、しばらくは多少の混乱は避けられないかもしれません。もう一つの特集は例の派遣労働の同一労働同一賃金の労使協定方式についてのもので、令和3年度の一派賃金の通達と対応実務の解説です。これは今後しばらくは毎年の年中行事になるのでしょう。
 八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保険」は「各種手当の意味するもの」と題して、最近の最高裁判決でも話題になった通勤手当と住宅手当が取り上げられています。通勤手当も住宅手当も就労に必須のものとして(転勤の場合は特に)企業が支給することが労使慣行として定着してきたわけですが、ここで指摘されているとおり、さまざまな不公平やゆがみをもたらしていることも事実でしょう。これらについては「長期的に廃止し、その代償として一定額を基本給に組み込むことが望ましい」とされており、私もそのとおりだと思いますし、各企業ともその方向に進むでしょう。これら手当は基本給と異なり割増賃金や退職金などには影響しないため、過去労使間で労働条件の改善策として便利に使われてきたという側面もあるわけで、そろそろ整理が必要な局面かもしれません。大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードでみた労働法」は「敵対的買収」が取り上げられ、企業買収時の労働法の論点が整理されています。