日本労働研究雑誌10月号

 (独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』10月号(通巻723号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

日本労働研究雑誌 2020年 10 月号 [雑誌]

日本労働研究雑誌 2020年 10 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/09/29
  • メディア: 雑誌
 今号の特集は「あらためて賃金の「上がり方」を考える」というもので、賃金研究は一時期に較べるとやや下火かなという勝手な印象があったのですが、ここにきてなにやら胡散臭い、日経新聞などなどのいわゆる「ジョブ型」なるものが商品化されていることもあり、まことに時宜にかなった特集といえそうです。
 内容はこれからしっかり勉強させていただきたいと思いますが、賃金の「上がり方」というのは小池和夫先生が『仕事の経済学』で賃金の「決め方」と「上がり方」を区別して整理されたことを踏まえたものと思われ(いやオリジナルはもっとさかのぼれるのかもしれませんが)、これを勉強した当時を懐かしく思い出すとともにこれが一般名詞化して使われているところにも多少の感慨を覚えてみたりしています。
 パラパラと見た範囲では、同志社の田中秀樹先生の論文で、労働者にとっての仕事の報酬は相変わらず働きがい(専門性発揮など)や仕事そのものという内発的なものが最大という結果は成果主義の失敗と高橋伸夫先生の「仕事の報酬は次の仕事(私が勝手に言い換えればキャリア)」というご指摘を思い出させますが、「ワークライフバランスに資する外的報酬を求めているものも多い」というのは中期的な変化なのかもしれないななどと興味深く感じました。他の論文も興味深いものばかりで、こちらも楽しみに勉強させていただきたいと思います。