中山慈夫『就業規則モデル条文第4版』

 (一社)経団連事業サービスの讃井暢子さんから、経団連出版の最新刊、中山慈夫『就業規則モデル条文第4版-上手なつくり方、運用の仕方』をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

就業規則モデル条文 第4版

就業規則モデル条文 第4版

 働き方改革関連法の成立をふまえた改訂版とのことですが、「モデル就業規則」といえば即座に想起されるのが兼業・副業でしょう。厚生労働省のモデル就業規則は「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。/2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする」と、原則自由・届出制に変更されたわけですが、こちらは「会社の許可なく社外の業務に従事しまたは自ら事業を行ってはならない。」と、従来どおりの原則禁止・許可制を堅持しています。届出制に関しては「労基法38条の改正を視野に入れ、(労働時間把握、割増賃金、労災などの)諸問題を合理的に解決する法制が整備されていない現状では…副業・兼業を原則認めない許可制とすべきである」と明快に解説しています。これに関しては先週発表された厚労省の検討会の報告は軒並み通算する・しないの両論併記となっていてその先は今後の労政審での議論に回されており、まあ以前も繰り返し書いているように相当の割り切りをもって法改正がされない限りは現状の原則禁止・許可制を維持せざるを得ないのではないかと思われます。
 あまり紹介すると営業妨害になりそうですのでやめておきますが(笑)、モデル条文だけではなく、解説も厚労省のそれに比べれば圧倒的に充実しており、就業規則をベースにした人事労務管理の実用書として非常に有益なものではないかと思います。