売り手市場続く

 今朝の日経新聞で、新卒就職戦線の近況が報じられていました。

 日本経済新聞社が14日まとめた2019年度採用状況調査で、主要企業の大卒採用の内定者数(19年春入社)は18年春入社実績比で1.4%増だった。8年連続の伸びだが、業務の自動化を進める銀行は16.1%減だった。半数の企業で内定者数が計画を下回り、とくに陸運などサービス業は計画未達が相次ぐ。学生の売り手市場が続き、理工系人材が争奪戦になるなど人材確保はさらに難しさを増している。
(平成30年10月15日付日本経済新聞朝刊から)

 これに続いて業界別の状況が記載されているのですが、銀行が採用を減らしているという話が詳しく書かれているのに続いて「業種別で最も充足率が低かったのは陸運。…福山通運グループは計画の300人に対し、内定が57人と充足率は2割弱。」「百貨店・スーパーの充足率も0.4ポイント減の88.9%だった。食品スーパーのサミットといなげやはいずれも計画を4割下回った。」「外食・その他サービスも充足率が89.3%にとどまった。和食料理店を展開する木曽路の充足率は2割。」など、苦戦する業界の紹介が続いています。まあ、時期的に考えても採用力の高い業界・企業は早々に必要数を確保していて、公務員からの進路変更組や留学帰国組などの分を残してほぼ撤退していると想定され、現状も採用活動を実施しているのは基本的に厳しいところだというところでしょうか。いずれにしても学生さんには選択肢が拡大し良好なマッチングが実現しているということでしょうからご同慶です。
 企業面では理系人材が特に好調と書かれています。

 2019年度採用状況調査では、理工系の大卒内定者数が18年春入社実績比で約6%増え、7年ぶりに文科系を上回った。自動運転やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」など次世代技術の広がりを背景に、大手製造業が理工系を積極採用する。好調な技術者派遣もけん引した。文科系は業務の自動化を進める大手銀が採用を絞っており、技術革新が採用の姿を変え始めた。
(平成30年10月15日付日本経済新聞朝刊から)

 ということで、日経電子版では理系の博士課程修了者も就職が好調だとも伝えられています。

 「博士、求む」――。理系の就職前線に変化の兆しが見えてきた。これまで博士の採用に消極的だった企業が、一転して採用へと動き始めている。グローバルな競争が激化し、新規事業などをおこすために即戦力となる優秀な人材が必要になってきたからだ。大学も10年ほど前から企業で博士にイノベーションを創出する能力を身につけさせる教育に力を入れてきたことも企業の採用を促している。分野にもよるが「博士に進むと就職できない」という声は、あまり聞かなくなってきた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36273030Z01C18A0000000/(有料ご容赦)

 これに続いて「大学も10年ほど前から企業で博士にイノベーションを創出する能力を身につけさせる教育に力を入れてきた」といった努力が紹介されているわけですが、まあやはり理系人材が不足しているという供給不足の要因が大きいのではないかという感はあります。学士、修士で充足できなければ博士にも手が伸びるというわけですね。もちろん大学や院生さんの努力で博士の就職力が高まっているということもあると思います。
 私として注目したいのは、これまで博士をあまり採用してこなかった企業が博士を採用することで、それに応じて人事管理が高度化していくのではないか、というところです。能力面でも意識面でも博士と修士はかなり異なるでしょうから、それに適した人事管理も違ってくるでしょう。ここのノウハウがうまく獲得・蓄積されて効率的な人材活用が可能になれば、この先も継続的に博士の就職が堅調に続くことが期待できるだろうと思われます。
 逆に、それでやはりうまくいかないということになると、景気が後退して研究開発投資を絞らざるを得なくなり、理系人材の採用も縮小のやむなしになった時に、博士から採用を減らすということになりかねないだろうとも思われます。おそらくは博士は修士より多様性も高いと思われ、そこへの対応がポイントになりそうな気がします。