わが社はこの地を離れない

上のエントリを書いていて、連合総研の機関誌「DIO」の最新号に寄せられた川喜多喬先生の論考の一節を思い出しました。

 ある中小企業を訪問した時のことである。例によって経営理念を見せてもらった。そして目を皿のようにしてじっと第一条を見つめたまま、しばし言葉を失った。
 −−「わが社はこの地を離れない」
 そう書いてあるのである。
…少し企業が大きくなると、どんどん地方では中核都市、さらには大都会に本社を移す例が多いことをしばしば見聞きする。が、その会社の周りは森や田畑が豊かに広がる、いわば里山である。
 どうしてこういう理念を第一に書いてあるのですか?との著者の問いに、社長は、「だって、うちの社員が安心して働けるでしょう!」と、何を疑問に思うかという不思議そうな眼をしながら、こたえてくれた。
 社員はほとんどが地場の出身者である。親や祖父母、配偶者、親戚縁者のほとんどが地場の出身者である。現在あるいは将来、老人の介護の必要がある。少子化時代は地方にも及び、長男・長女が多い。その類縁をこの地に残して、会社が他の地に移ったら、社員が不幸になるでしょうが・・・と社長は言うのである。
http://rengo-soken.or.jp/dio/pdf/dio309.pdf

いつもながら川喜多先生らしい、感銘を禁じ得ない論考ですので、ぜひ連合総研のサイトで全文をお読みいただければと思います。善し悪しや普遍性についてはあれこれ言う人がいるのでしょうが、しかし設備投資するならこういう意気込みでやってほしいとは私は切に思います。こうした経営者と「簡単に解雇できるようにしてくれれば設備投資するよ」という経営者と、どちらが成功するのか、どちらに成功してほしいのか。いろいろな意見があっていいとは思いますが、私は断然、、、ね。