野口正明『組織の未来をひらく創発ワークショップ』

(こちらもまだのようです)
経営ビジョンや新規事業企画を組織横断的なワークショップで検討提言するという取り組みは時折みられるものですが、その有効な運用についてポイントを解説した本です。まあ事実は小説よりといいますか、書いてあるようにうまくいけば苦労はないよなという感は率直に申し上げてありますが、しかしこうした活動の運営にあたる人にとっては未知の領域も多いだろうと思われ、有益な知識や活動のヒントは多く含まれているように思われます。要は現実の実践にどのように生かしていくかが大切なのでしょう。
ただまあ全体にこの手の本としてはロマンティックな書きぶりが目立ち、イマジネーションを喚起するにはこれもいいのかもしれませんが、忙しい実務家はもっと実用的な知識も欲しいのではないかという気はします。たとえばメンバー選定はどういった点に気を付ければいいのかとか、あるいは会合の進め方としてたとえば持ち回りプレゼン+意見交換でやるならどういう順序でやるのがいいのかとか、事務局提示資料→ブレストにするときの資料作成の留意点とか、まあ言い出せばきりのない話ではありますし、出来上がったワークショップに加わって成果を出すことを求められるコンサルに対してはないものねだりなのかもしれません。ということで実務をトータルにカバーした本としてではなく、ミーティングの際の心構えを考えるための材料の本として読むのであれば面白い本なのではないかと思います。