岡田邦夫『健康経営』推進ハンドブック』

「健康経営」推進ガイドブック

日本政策投資銀行（DBJ）が「DBJ健康経営（ヘルスマネジメント）格付」というものを実施しています。これは「従業員の健康配慮への取り組みに優れた企業を評価・選定し、その評価に応じて融資条件を設定する」というもので、高い格付を獲得すると有利な条件で融資が受けられるところに特徴があります。なるほど、DBJの融資案件は一般的にかなりの長期のものが多いでしょうから、企業の安定的な存続に資する健康管理は融資にあたって重要なポイントなのかもしれません。
この本は、元産業医で、「健康経営」を商標登録している特定NPO法人健康経営研究会の岡田邦夫理事長によるその解説書です。もともと健康管理にきちんと取り組んでいる企業にとっては周知の内容も多いのですが、Ｑ＆Ａ形式を中心にまとめられていて初歩の入門書としてはわかりやすいのではないかと思います。
全体に経営トップのリーダーシップが強調されており、まあ健康「経営」の本なので当然なのかもしれませんが、ボトムアップ・労使関係の観点からの取り組みに触れられていないのは私としては不満が残るところです。とはいえ、元産業医という経歴から想像するに、労使関係では健康経営の実現は難しい、やはりトップがその気になって社内にやらせなければできない、ということが経験的にわかった、ということなのかもしれません。