なでしこ銘柄

本日の日経新聞朝刊から。

 経済産業省東京証券取引所グループは女性が活躍する上場企業10〜20社を選び、来年2月をメドに「なでしこ銘柄」(仮称)として公表する。選んだ銘柄などで構成する株式指数をつくることも検討。個人投資家らの資金を呼び込み、市場を通して女性の社会進出を後押しする。
 経産省東証は、社内での女性の活躍状況を判断する基準を策定。東証1部に上場する約1700社からまず100社程度を選ぶ。この中から東証自己資本利益率(ROE)など財務指標が優れた企業を十数社選んで社名を公表する。
 銘柄の選定では(1)女性の働きを後押ししているか(2)仕事と家庭の両立を支援しているか――などを重視する。具体的には管理職に占める女性の比率が高い企業、育児支援制度があって利用者も多い企業、有給休暇の消化率が高い企業などが選ばれる見通し。

 東証は「なでしこ候補」として選んだ約100銘柄について、過去数年間の株価の動きを指数にし、その指数を公表する。市場平均との比較を明らかにして投資判断に役立ててもらう。将来は日々の株価の動きを指数化し公表することも検討する。指数に連動した投資信託などを開発するのに使うことを想定している。
平成24年10月26日付日本経済新聞朝刊から)

女性活用と企業業績の関係は実証の問題で、現に相関があるという結果も過去多数出ていますし、因果関係を抜きにすれば(女性活用→好業績という因果関係を示す研究も出てきていますが)女性活用している企業は業績もよろしかろうというのは直観的にも納得できるところでしょう。しかも「財務指標が優れた企業を十数社」選ぶということなので、まあ相当に手堅い銘柄が選ばれることになりそうです。まあ選んだはいいが株価は下がりましたということでは目もあてられないので十分に慎重を期したほうがいいと思います。
そこで株価というのは業績も女性活用もさることながらみんなが上がるだろうと思えば上がるわけであり、さてなでしこ銘柄の人気はどうなりましょうか。女性活用に積極的で財務体質がいいと言われるとあの企業この企業と名前がいくつか浮かんでくるわけで、来年2月の公表前にその株を買っておけば次第によっては大儲けもあるかもしれません。いや株価というのは株式分割しただけで何割も上がったりするわけなので(その後その株価がどうなったかは知りませんが)。
むしろ興味深いのは財務指標でスクリーンされる前の100銘柄で構成する株式指数がそう動くかで、これが日経平均とか、あるいは(省略しましたが)記事にある「環境」や「特許」の指数とかと較べて勝てるものかどうか。まあ勝てるだろうと思いますが勝てなかったらシャレにならないとも思います。
それはそれとして、さてこれで本当に女性活用が進んだ会社はそうでない会社に較べて株価が上がりやすいということがわかったとして、それではわが社もと考える経営者はどれほどいるものか。それに対してアナリストがどう評価するのか、考え始めるとあれこれ面白いことが起きそうで楽しみです。