JILPT第2期プロジェクト研究シリーズ

労働政策研究・研修機構様から、「JILPT第2期プロジェクト研究シリーズ」全6冊をお送りいただきました。いつも本当にありがとうございます。ラインナップは以下のとおりです。すべて「労働政策研究・研修機構編」なのですが、ここでは執筆者をご紹介します。

梅澤眞一・藤本真・浜田浩児・奥津眞里・周燕飛・岩田克彦『高齢者雇用の現状と課題』
伊岐典子・池田心豪・中村良二・奥津眞里・小倉一哉・浅尾裕・池添弘邦『ワーク・ライフ・バランスの焦点−女性の労働参加と男性の働き方』
浅尾裕・原ひろみ・小野晶子・高橋康二・渡辺木綿子・李青雅・天瀬光二『非正規就業の実態とその政策課題−非正規雇用とキャリア形成、均衡・均等処遇を中心に』
濱口桂一郎『日本の雇用終了−労働局あっせん事例から』
藤本真・佐藤厚・大木栄一・藤波美帆・姫野宏輔『中小企業における人材育成・能力開発』
室山晴美・西村公子・長縄久生・深町珠由・下村英雄『キャリア形成支援における適正評価の意義と方法』
http://www.jil.go.jp/institute/project/series/2012/index.htm

ISBNコードがつけられていて定価の記載もありますので本屋さんでも売るのだろうと思いますが、まだasinコードがついていないようではまぞうのリンクが入れられません。第1期のシリーズにはついているようですのでいずれはつくのだろうと思いますが。
このシリーズはJILPTのプロジェクトを単行本にまとめたもので、調査結果そのものはすでに労働政策研究報告書として発表されており、JILPTのサイトで閲覧することもできます。単行本はそれをベースに、調査結果・分析結果などの記述は軽量化したうえでインプリケーションなどの記述が追加されています。
ということで「オビ」をみるとけっこう読み物としても面白そうな感じの惹て句が記されている(まあ新書とかの売らんかなな惹句に較べるとずいぶん上品ですが)のではありますがはっきり言って研究書です。まあ労働政策研究報告書よりは読みやすいですが…。
さて目立つのは基本的には調査に関与した多数の研究者による共同執筆になっているのですが、『日本の雇用終了−労働局あっせん事例から』だけはhamachan先生こと濱口桂一郎先生の単独執筆となっている点です。内容については先生がご自身のブログで紹介されていますのでそちらを御覧いただければと思いますが、中小企業を中心に実態として通用(横行)している事実上の解雇ルール?を「フォーク・レイバー・ロー」として整理しているあたり、まさにオビの惹区にあるように「判例研究と経済理論と告発ジャーナリズムの隙間を埋める一冊」というにふさわしいように思います。しかしこの惹句をみると、「研究」「理論」と言いながらも「告発ジャーナリズム」の印象が強くて、新書のように読みやすい本に思えてしまいますね。まあたしかに事例が豊富な本なのでその部分はけっこう読みやすくもあるのですが。