法違反と規制緩和

今日の日経電子版に、運転手に事故につながる過労運転を命じた運送業者が逮捕されたとの記事が載っていました。

 大阪府茨木市名神高速で6月、2人が死亡するなどした玉突き事故で、大阪府警高速隊は13日、大型トラック運転手の丹羽潤被告(42)=自動車運転過失致死傷罪で公判中=の勤務先の運送会社「ランドキャリー」岐阜営業所(岐阜県可児市)の所長、鈴木弘一容疑者(47)=愛知県春日井市=ら4人を道交法違反(過労運転の下命)容疑で逮捕した。4人は容疑を否認している。
 4人の逮捕容疑は6月12日午後、共謀の上、丹羽被告が過労で正常に運転できない恐れがあると知っていたにもかかわらず、同営業所で愛知県豊橋市から兵庫県たつの市への建材の運搬などを命じた疑い。
 高速隊によると、丹羽被告は3月、同社に入社し、4月24日から兵庫県や愛知県に飲料水や建材を運搬する業務に従事。日曜に同営業所を出発、金曜に戻るペースで勤務し、休みはおおむね週1回だった。1日に約700キロを走行し、車内で寝泊まりしていたという。
http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819A91E3E1E2E0968DE3E1E2EBE0E2E3E39391EAE2E2E2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E5

労基署が頑張ったのかと思ったら残念ながら?警察の高速隊でした(まあ道交法違反だから当然だ)が、こういう悪質な業者はジャンジャン取り締まってほしいと思いますし、こういう取り締まりをしっかりやる警察官や監督官は増員が必要ではないかと思います。
さてそれはそれとして、この事件に関して野川忍先生がつぶやいておられたのでご紹介したいと思います。

@theophil21野川 忍
6月にトラックの衝突で二人が死んだ事件で、運送会社社長が、運転手に過労運転を強要した罪で逮捕された。車中五連泊という労働を毎週余儀なくされ、疲労困憊した運転手が居眠りしたのが事故の原因だった。同様の強制労働は全く珍しくないだろう。この状況の改善なしに規制緩和の主張はありえない。
9月14日webから
coollinerと他37人がリツイート

まことに野川先生らしい正義感あふれるツイート(全く珍しくない、はまあ評価の問題ですが)だと思いますが、「この状況の改善なしに規制緩和の主張はありえない。」は筋が違うと思います。上でも書きましたが、この状況の改善に必要なのはまずは取締の強化であり、次いで必要なら罰則の強化でしょう。必要な規制緩和をやらないことは解決になりません。
あまりいいたとえ話ではありませんが、制限速度は時速40kmであるところ大半の車両は時速50km程度で走行しており安全かつ円滑に運用されているといった道路が全国あちこちに多数あり、その上限規制を緩和するということが実際に(十年前くらいと記憶)行われました。この場合、時速200kmで走って死亡事故を起こす奴がいるからといって「やっぱり制限速度は40kmのままにしましょう」としてみたところでたぶん誰も幸せになりません。やはり必要なのは逮捕して起訴して交通刑務所に送って更生させることであり、労働規制でもそれは同様ではなかろうかと思います。