八代尚宏『新自由主義の復権』

八代尚宏先生から、新著『新自由主義復権−日本経済はなぜ停滞しているのか』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

内容は従来からの八代先生のご所論を現在の経済社会情勢にあわせてアップデートしたものといえるでしょう。書名にあるように(もっともこの書名も八代先生ご自身のものとは思えず、例によって営業用のものという感はありますが)主義主張を明確に述べた本であり、現状のバックラッシュへの抵抗のために強い表現や極論が使われる部分もありますが、そこを割り引いて読めば大半は内容的にきわめて適切であり、私も賛同できるものです。
いやまあ私も分類すればネオリベに含まれるらしいので(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20100715#p1ご参照)、この本に共感するのも当然といえば当然ということになりましょうか。自分としてはネオリベというよりはクラシックなリベラルに近いのではないかと思いますが。いずれにしても主義主張によって賛否は当然あると思います。
ただ、世間には相変わらず「新自由主義市場原理主義小泉改革が格差と貧困の拡大をもたらした」などといったデマゴーグに踊らされ、総合規制改革会議や経済財政諮問会議で活躍した八代先生を諸悪の根源のように思い込んでいる向きも多い(もうそうでもないかな)ようですので、そういう人にはぜひ虚心にご一読願えればと思います。特に八代先生が解雇の自由化を主張しているとか言っている向きは第7章を熟読されたし。なに言ってもきかない人も一定数いるんでしょうけれど(まあそれがイデオロギーというものだ)。