ワークス研究所『Works University労働政策講義2011』

ワークス研究所主任研究員の村田弘美さんから、『Works University労働政策講義2011』をご恵投いただきました。ありがとうございます。
一見してワークス研究所の研修事業のテキストかなという感じなのですが、そういうことではなさそうです。書店で流通しているものでもないようで、ワークス研究所のサイトから無料で全文がダウンロードできます。
http://www.works-i.com/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=779&item_no=1&page_id=17&block_id=302
コンセプトとしては、まさに書名のとおりで、大学の学部に「労働政策論」という講義があったとして、その教科書になるもの、というところでしょうか。近年とりわけ、労働政策はなにかと入り組んできて外からみるとわけがわからなくなりつつあるように思われますが、それが16分野に整理され、コンパクトに解説されています。労働政策そのものを仕事にしているわけではないけれど、しかし全体像を知っておくと仕事に幅が出るような政策担当者や人事担当者にはまずまず好適なテキストといえそうです。特に、限られたスペースにもかかわらず、歴史的経緯や国際比較・海外事例の言及も多いこと、往々にして人事管理論のテキストでは紙幅がさかれにくい集団的労使関係や労働保険などにも一定のボリュームが与えられていること、書籍だけでなくウェブサイト上の参考資料も豊富に紹介されていることなどが長所としてあげられると思います。いっぽう、政策のバックグラウンドとして労働市場が重視され、人事労務管理の側面がやや弱い感があるのは、これは私が民間企業人だからそう思えるということなのかもしれません。