同友会と日商

今朝の日経新聞から。

 大学生の就職活動が長期化している問題で、経済3団体のスタンスが微妙に異なっている。会社説明会などの開始時期を現状より約2カ月遅い大学3年の12月とするよう企業に求めるのが日本経団連案。日本商工会議所経済同友会20日、それぞれ「一段の見直しが必要」との見解を示した。
 経済同友会の桜井正光代表幹事は20日の講演で、会社説明会などの広報活動について、経団連より3カ月遅い大学4年生になる直前の3月とする案を提示。試験・面接などの選考は大学4年8月からとすべきだとした。経団連の見直し策に比べ踏み込んだ内容だ。
 経団連は「企業が守れる最大公約数」(米倉弘昌会長)の見直しにとどめざるを得なかった。採用期間の短縮で、人材確保が困難になることに対する企業の採用担当者からの反発が大きかったともいわれる。
 同友会は経営者個人が会員となる組織。桜井氏に代わって4月に代表幹事に就任する武田薬品工業の長谷川閑史社長も製薬業界で独自の対応策をまとめた。個人の見解を打ち出しやすい同友会ならではの提案だ。
 岡村正日商会頭は同日の記者会見で「就職活動が1年半に及ぶのは問題」として、桜井代表幹事の見直し案にほぼ同調したが、ここでは会員中小企業の思惑もにじむ。
 現在の学生は大企業偏重で、中小企業の就職活動を大企業の後に始めるのが一般的。日商から見れば就職活動期間の短縮で、大企業と中小企業を同じ時期に受ける学生が増え、結果的に優秀な人材が中小企業に入るのでは、との期待感もある。
平成23年1月21日付日本経済新聞朝刊から)

まあ、記事にもあるとおりで、一応この問題について経済界をリードする立場にある経団連としてみれば、守れない・守られないとわかっているルールを作るわけにはいかないということはあったでしょう。世の中全体からすれば経団連の倫理憲章に参加していない企業のほうが多数なわけで、ルールを守る正直者がバカをみるのではやはり困るわけで(就職協定をやめたのも「正直者がバカをみる」からだったような記憶が)。まあ一気に遅らせるのではなく、景気の動向もみながら、年々徐々に遅らせていったほうがいいのではないでしょうか。
その点、同友会は記事中にもあるように個人資格で会員になるということもあって言いっ放し(失礼)がしやすいでしょうし、日商は中小企業代表という立場から「フライングするのは大企業」ということでモノが言いやすいかもしれません。
ただ、大企業の開始を遅らせれば思惑通りに「大企業と中小企業を同じ時期に受ける学生が増え、結果的に優秀な人材が中小企業に入る」といきますかどうか。開始してしばらくは学生は大企業に集中し、中小に向かうのは大企業があらかた終了して以降、という(現状と同じ)ことになりそうな気もするのですが。まあでも大企業が終わった時点でもう卒業までいかほども残っていないとなれば、気持ちを切り替えて中小企業を選ぶ学生さんは増えるかもしれません。