大卒採用最後のチャンス

今朝の日経新聞の「振興・中小企業」面の「みちしるべ」というインタビューのコラムに、リョーワ社長の田中裕弓氏が登場しておられます。
同社のホームページなどによると、同社は福岡県京都郡苅田町所在で従業員は25人と、まさに「地方の中小企業」という感じです。現会長の田中良和氏が1968年に創業(社名の由来は創業者の名前でしょうか)したということですからすでに40年以上続いており、業界での評価も高く、中国進出の予定もあるようです。ここで登場の現社長は二代目でしょうか。

 ▽…「2011年春入社が大卒を採る最後のチャンス」と話すのは油圧装置のメンテナンスを手掛けるリョーワ(福岡県苅田町)の田中裕弓社長。景気低迷の影響で大手企業が採用を手控えるなか、大卒の採用に動き、今春入社で大卒を1人採用。「11年春は3〜4人は大卒を採りたい」と話す。
 ▽…昨年末から自動車関連の設備の案件が出始めたというが、受注は依然低水準のまま。「景気の二番底の懸念もあり、来年度は厳しい」。それでも「12年春入社では大手も動いてくる」とにらみ、あえて積極採用に踏み切る。
(平成22年3月31日付日本経済新聞朝刊から)

ちなみにリクナビ2011のページはこちらです。
http://job.rikunabi.com/2011/company/top/r244710070/?isc=r1rs00000101
募集は「■事務系総合職・・・これからの新事業を担っていただくために、海外営業(中国駐在)、営業事務(海外とのやりとり)などの仕事をお任せします。■技術系総合職・・・油圧機器を含めた機械メンテナンス全般の業務を幅広くお任せしていきます。」とのことですから、やはり中国進出を控えてそれを担う人材が必要ということのようです。先輩社員にいきなり社長が出てくる(笑)のには驚きますが、46歳ということですからギリギリ「先輩」には入るかもしれません。社長は「社員」とはいえないと思いますが…。
それはそれとして、他の先輩社員二人はともに30代前半で、かなりの仕事を任されているようです。一人は中国からの留学生で、「近い将来に中国事務所を出すから、向こうの責任者になってくれ」と言われているとのこと
実際、大学新卒者にいきなり中国駐在させようとしているくらいですから、若いうちから大きな仕事を任されるのは事業が拡大している中小企業ならではというところでしょうか。いっぽうで、その分仕事は当然きついでしょうし、手取り足取り仕事を教えてくれるとも期待しにくく、試行錯誤になるでしょう。ちなみに初任給は19万8000円とのことなので、大企業と較べてさほど見劣りする水準ではありません(まあ、それからの上がり方は違うのかもしれませんが)。労働時間のほうは1日7.5時間で隔週週休2日ということです。
ちなみに「先輩の出身校」というのを見ると、山口大学西日本工業大学苫小牧工業高等専門学校となっていますが、先輩社員紹介をみると社長が山口大学でほかの二人の先輩が西日本工大となっていて、他は高専ですから、たぶん大卒者は先輩として紹介されている3人だけ(だから社長も出てこざるを得なかったのかも)。なるほど大卒採用には苦戦していることが伺われます。若年の雇用情勢は厳しいと言われ、実際厳しいと思いますが、しかしこうした企業も現実にあることも間違いないようです。
さてこの求人、良く言えば「楽ではないが、タフな人にはやりがいはある」という感じでしょうが、悪く言う人には「ブラック」ということになるのかもしれません。このあたりの評価は人によって異なるでしょう。この厳しい経済情勢の中でも採用増を考えるくらいで、経営はそれなりに安定していて成長指向・将来性もある会社のように思われますし、若い人が大きく成長できる可能性のある会社のようにも思えますが、もちろん仕事がきついとか大企業に較べれば経営体力が強くないといったリスクもあるので、こと自分自身が現実に就職するということになれば、そこは人それぞれの価値観によって評価も違ってくるのでしょう。3〜4人という少数(企業規模を考えれば大きいですが)なので、企業・新卒予定者の双方にとって良好なマッチングとなることを祈りたいものです。