内部留保に課税とは

先週の土曜日から関西→東京→北米→東京と出張が続き、それでも先週の東京では空き時間にブログを書いていたのですが、以降は滞ってしまいました。ということでこのエントリは2月24日に書いております。いや、ようやくブログに手をつけようかという状態になりまして、少し飛ばして行こうかと。
で、今さらなんでしょうけどとにかくこれには驚きましたので。YOMIURI ONLINEから。

内部留保への課税検討、首相が志位委員長に表明

 鳩山首相は17日、共産党の志位委員長と国会内で会談し、企業の内部留保に対する施策や証券優遇税制の見直しなどについて、検討する考えを明らかにした。
 ただ、検討の具体的なスケジュールは示さなかった。
 志位氏は2010年度予算案を一部修正し、大企業の内部留保への課税や所得税最高税率の引き上げ、中小企業の保護などの施策を実施するよう求めた。首相は同日夜、首相官邸で記者団に「検討してみましょうと申し上げた。中小企業が困っている状況はわかっている」と述べた。

(2010年2月17日21時03分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100217-OYT1T01165.htm

いやはや、内部留保に課税、ですか。内部留保は税引き後利益から積み立てるので、法人税率を上げれば同じようなもんじゃないかとも思いますが、まあ有効な使い道もなく漫然と内部留保されているのであれば、それに課税してペナルティを与えれば活用が進むだろう、という理屈はあり得るのかもしれません。もっとも、内部留保といってもキャッシュで留保されているのはごく一部で(企業によって違いはありますが)、多くは設備や在庫などの形で保有されており(課税という意味では固定資産税が課されているものもかなりあるはず)、内部留保を取り崩して投資しようとしたらそれらを売却してキャッシュを手配しなければならなくなるわけですが…。
さて、それでも内部留保がキャッシュでうなっているという財務体質のまことに良好な(?)企業もなくはなかったわけで、それに対して村上世彰とか、いわゆる「物言う投資家」なるものがあれこれ言っていたことは首相も志位氏もご記憶でしょう。つまり、内部留保にペナルティが課され、効率的な投資先もないなら、いっそのこと内部留保を積み上げるのはやめて配当してしまえ、ということになりかねないわけです。つまり内部留保への課税は株主=資本家への分配を増やす効果があるわけで、日本共産党さんは本当にそれでいいのかと。日本共産党さんはかねてから「内部留保を取り崩して賃上げ」といった主張を繰り返していますので、賃上げしないのなら税金で巻き上げよう、そうすれば賃上げしようという企業も出てくるのではないか、といった考えなのかもしれませんが、そうそう簡単な話ではないと思うのですが。
で、それに対してほいほいと「検討してみましょうと申し上げ」てしまう首相というのもどんなもんかなあと思うわけでして。どうやらその後周囲が火消しに追われたようですが…。