失業者雇い森林整備を

続けて一昨日の日経朝刊からのネタをいくつか。連載インタビュー記事「領空侵犯」今回はさわかみ投信の沢上篤人氏が登場して雇用問題を語っておられます。

「特に若年層の失業は対応が急務です。そこで間伐や植林などの森林整備に取り組む『国土保全隊』とでもいうべき組織をつくり、職のない若者を雇ったらどうでしょうか。…」

−−−今の若い人が山林での厳しい作業に興味を持つでしょうか。
「力仕事で大変でしょうが、1人あたり400万円くらいの年収を約束して、若者を募るのです。…」
(平成21年11月2日付日本経済新聞朝刊から)

この手の陳腐な議論は相変わらず多いですねぇ。
沢上氏も聞き手も根本的なところでずれているな、と思うのですが、こと若年層に対しては「厳しい作業」「400万円」という目先の帳尻ではなく、もっと足の長いキャリアを考える必要があるのではないでしょうか。森林保全の仕事がそれなりにキャリアの奥行きがあって、腕前を上げれば付加価値が高まり、労働条件も向上するといった仕事であるならば(実際にそうかどうかは私は知らないのですが)、あるいはその経験が転職市場で高く評価されて有利だ、というのであれば、厳しい作業、かつ足元は400万円以下の年収でも、意欲を持って取り組む若年はいるかもしれません。まあ、現実問題としてはそれで結婚できるか、とかいったさまざまな条件が関係してくるので、森林整備も人生キャリアを考える上で魅力的な仕事にするというのはそれほど簡単ではないのでしょうが…。
400万円で森林整備、という発想は、むしろ職業キャリアも後半に入り、先々のことよりは当面の生計費を稼得することを重視するような中高年に対してのほうが有効ではないかと思います。しかし、本当にやろうということになると、若年層の失業対策、という名目がないと予算は組みにくいかも知れませんね…。