北畑事務次官

かなり今さらの話ではありますが、経済産業省北畑隆生事務次官が講演で「危ない表現をすると、株主は(企業経営の)能力がないうえに浮気者、それから無責任、有限責任であり、配当を要求する強欲な方。さらにスティール・パートナーズとなると、(他の)株主や経営者を脅す。」(平成20年2月5日付日本経済新聞朝刊)とか「(デイトレーダーは)経営にまったく関心がない。本当は競輪場か競馬場に行っていた人が、パソコンを使って証券市場に来た。最も堕落した株主の典型だ。バカで浮気で無責任というやつですから、会社の重要な議決権を与える必要はない」(平成20年2月8日付朝日新聞朝刊)などと発言したとして物議をかもしました。これに対して、主催者である財団法人経済産業調査会は「講師は話を盛り上げるために敢えて過激な表現を用いたものであり、その部分だけを取り出して論評することは適切ではない」との趣旨の声明を出しています。
http://www.chosakai.or.jp/info/20080212.pdf
まあ、これはこれでもっともなのですが、だったら柳沢伯夫氏の「産む機械」発言はどうなんだ、ということになるわけで、甘利明経産相が「部分的な引用で曲解されないことが大事」との見解を示した(平成20年2月8日付朝日新聞夕刊)ことは妥当といえましょう。
もっとも、柳沢氏のときとは異なり、これを批判したのは株取引関係者と日経新聞くらいのもので、その後は国会などでも特段「追及」されていません。ということは、案外政治家の中には同じような意見を持っている人が多い、少なくとも気にしない人が多いということかもしれません。現在の日本の政治状況では、「産む機械」はPolitically Incorrectだが、「デイトレーダーはバカで浮気で無責任」はPolitically CorrectとまではいかなくてもPolitically Incorrectではない、ということでしょうか。
ちなみに、「不適切な部分を削除した」講演録も、財団法人経済産業調査会のサイトに掲載されています(誤解を解くよう甘利大臣が掲載を促したのだそうです。適切な対処と申せましょう)。
http://www.chosakai.or.jp/seminar/sbvb2007/doc/20080125.pdf
これを読んでみると、私などにはまことにもっともと思われる内容が大半を占めています。特に、最後の部分、35ページ最終行からの2ページくらいの部分の、短期投機的株主に対し長期保有株主を優遇すべしとのくだりはたいへん同感できるものです。フランスには、5年以上保有しないと議決権が発生しないという制度もあるのだとか。ぜひ日本でも実現してほしいものです。
引用してご紹介したいのはやまやまなのですが、あつものに懲りたのでしょうか?残念ながらコピペができない設定になっています。また、時間があるときにでも転記したいと思います。いいこと言ってるのに、本当にもったいない。