新入社員研修

月曜日の日経新聞からもうひとつ。

 企業はどの程度の期間で新入社員研修を実施しているのか。今回の調査では答えは広く分散した。「1週間以内」「2−3週間」「1カ月」「2−3カ月」がそれぞれ20%台前半で並ぶ。「6カ月以上」という超長期研修も20人に1人以上の割合であったが、逆に「まったくない」もほぼ同数。
 それほど新入社員研修は会社によって異なるが、「研修は必要か」という問いには「必要」「どちらかといえば必要」が合わせて95.0%と研修自体への評価は定着している。期間については、現状と同様に意見が分かれたが、「2−3週間」「1カ月」が多数派。このあたりが「基礎を身につけ、できるだけ早く職場に」という社内の声の最大公約数といえそうだ。
 求められる研修内容で、断トツはやはり「社会人マナー」。いつの時代にもある意見だが、「敬語や上司への接し方をまったくわきまえていない」といった不満は根強い。「家庭や学校で人間としての最低のマナーをたたきこむべきだ」という怒りの声もあった。景気回復で、新卒がすっかり「売り手市場」になった今年は緊張感の薄い学生も多く、社会人マナーが改めて問われることになるかもしれない。
 研修の定番ともいえる「会社の歴史や業務内容」も必要という声は多い。単なる知識というより、会社に対する求心力にしたいという発想もありそうだ。数年前まで新入社員研修ではあまり聞かなかった「コンプライアンス(法令順守)教育」も4割近い人が必要と答えた。ライブドア事件をみれば企業側の不安心理は理解できる。
 「新入社員が配属されたら、どう教えますか」という問いへの答えはおもしろい。「熱心に教える」は3人に1人で「それなりに」がほぼ3人に2人。2年前の本欄調査では2人に1人以上は「熱心に」だった。日常業務の負担増で後輩の面倒までみていられないという先輩が増えたのか?
(平成18年4月17日付日本経済新聞朝刊から)

なるほど、なるほど。さもありなんという結果です。

研修期間については、業種・職種によってさまざまに分かれるでしょう。常識的に考えていわゆる一般職(というのがどのくらい採用されているのか知りませんが)と総合職では、前者が短く後者が長くなるでしょう。製造業では多くの企業が生産実習を行うでしょうし、流通関係では販売実習を行う企業が多いでしょう。こうした実習には数ヶ月にわたるものも珍しくないようです。
必要な研修として「社会人マナー」を求める声が多いというのも、まあそうだろうなという感じはします。そもそも、学生生活では社会人マナーなど必要ないわけで、新卒新入社員に即座に社会人マナーを求めるほうが無理というものでしょう。とはいえ、現場としては忙しい中でマナーから教えるというのはたまらんというのもよくわかる話で、だからこそ「新入社員研修で」という話になるということでしょうか。もっとも、先輩のなかにも、自分のマナーの悪さを棚にあげている人がいそうですが…。
「会社の歴史や業務内容」というのも当然のことで、外部の人と会うときには新入社員といえども会社の看板を背負っているわけですから、自社の歴史も業務内容も知らない、というのでは恥ずかしいでしょう。「新入社員だから」「違う事業部だから」「自分の担当じゃないから」というのは、ある程度は致し方ないとしても、やはりそればかりではいただけません。
「熱心に教える」が減っているのは困ったものですが、負担増で面倒見てられないよ、というのはちょっと違うような気がします。人情としても先輩に熱心に面倒をみてもらった人は後輩にも熱心に教えるでしょうし、逆に熱心に教えられなかった人はやはり「それなりに」になるでしょう。だとすると、2年前に2分の1が「それなりに」やっていたとすれば、現在それが3分の2に拡大するのも致し方のないことでしょう。加えて、90年代に企業が大幅に採用を絞り込んだ結果、「新入社員の面倒をみたことがない」という人もまだまだ多いものと思われます。そういう人に「熱心に」を求めるのも難しいのではないでしょうか。。
やはり、職場の人材育成力、教える・面倒をみる風土を維持するためには、毎年一定程度の新入社員の採用が不可欠なのかもしれません。