中小で賃金改善

日経新聞の調査によると、今年の春季労使交渉では中小企業の賃上げ率が全体を上回るという結果が出ているそうです。

 賃金を巡る今春の労使交渉では、賃金水準が相対的に低い中小企業で大手を上回る率の賃上げを実施する動きが広がった。景気拡大による受注増で業績が好転傾向にあることや大手で前年より高い水準の賃上げが相次いだことから、中小でも多くの経営者が賃金水準を引き上げて競争力を保つ必要があると判断したようだ。

 今回の賃金動向調査では従業員300人未満の企業(36社)の平均賃上げ率は1.82%、300人以上1,000人未満の企業(75社)では1.75%で、いずれも全体の賃上げ率(1.65%)を上回った。景気拡大で大手企業は新卒採用を増やしている。「中小も賃金水準を高めないと若者を確保できない」(機械・金属の中小企業の労組で構成するJAMの小出幸男会長)ことが意欲的な賃上げの背景にある。
(平成18年4月17日付日本経済新聞朝刊から)

90年代なかばから、中小の賃上げ率が「春闘のリード役」とされる金属労協のそれを下回る傾向が明らかになり、春闘の相場形成力の低下、さらには「春闘の終焉」がいわれました。今回、中小の賃上げが平均を上回ったとすれば、それはこの間の格差を穴埋めする動きなのかもしれません。それはそれで、考えようによっては健全と考えることもできると思います。来年以降の動向が注目されるところです。