整理解雇は各世代から均等に

オランダでまたユニークな取り組みが出たようです。

 若者の失業問題が深刻なオランダが若者の雇用機会を広げるユニークな制度改革に踏み切った。企業が人員削減で若者を先に解雇対象とする規定を廃止し、各世代から均等に解雇者を指名する新ルールを導入。失業の痛みが若年世代に集中するのを防ぎ、世代間の不公平感を和らげる狙い。
 オランダの失業率は全体では4%台だが、若者(25歳未満)は13%台と突出して高い。企業が即戦力を求めるため新卒採用が少ないうえ、業況悪化による人員整理では社歴の短い従業員から解雇する規定が労働法にあり、経験の浅い若者ほど失業しやすい。
 今回この規定を見直すことで、政府と経済界、労組とが合意した。人員整理する企業は今後、従業員を世代別に分け、世代ごとに均等に解雇者数を割り振るよう求められる。これまでの規定では高賃金の中高年層を解雇できない企業が新規採用を抑え、若年失業者の増加につながっていた。
 従業員の解雇規制が厳しい欧州主要国では、企業が採用に慎重になり失業問題が若年層に集中。フランスでは規制緩和の対象を若年層に限定したことで、かえって若者の反発を招き頓挫した。オランダは1980年代に政労使の合意でパートタイムと正社員の均等待遇を導入、経済成長につなげた。欧州の中では全体の失業率が低い方という事情もあり、独仏と比べ労組が雇用流動化策に協力的と言われる。
(平成18年4月17日付日本経済新聞朝刊から)

うーん、これはたしかにユニークな制度です。まあ、これは明らかに若者に有利なルール変更ですからフランスのように若者が反発するということはないでしょうし、とりあえず若者の解雇が減るわけなので若年雇用対策としても一定の効果はあるでしょう。人件費の高い中高年を解雇することで、解雇が必要な人数も少なくなるかもしれません。
ただ、これは使いようによっては、世代別に均等に解雇を行い、続けて若年者を多数採用し、その後また世代別に均等に解雇するといったことを繰り返すことで、中高年の大量解雇が行えるわけで、想像以上に中高年に過酷な改正になるかもしれません。まあ、多少はそういうことがおこってもいいくらい、若年の失業問題が深刻なのでしょうが。