日記

9月25日のエントリ(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20090925)で書いたhamachan先生登場の経団連の会合ですが、どうにかこうにか都合をつけて行ってまいりましたよ。
ということで、hamachan先生のブログでさっそく冷やかされておりますな。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-46ee.html

 昨日は連合北海道主催の講演会(「非正規労働と産業民主主義」という題で)のため札幌に飛び、一泊して今日は羽田から大手町に直行して日本経団連に向かい、労働法制委員会企画部会の皆様の前でEUの有期労働法制と日本の話をしてきました。

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20090925(日記)

>ほほぉ。これはなんとか都合をつけて行かねばなりますまい。

 というわけで、居並ぶ有名企業の人事担当者の中にひときわ巨大な労務屋さんの姿が・・・。

 質疑の時間になって、座長から労務屋さんに水を向けられ、おもむろに労務屋さんが述べられた中身については、そのうち「吐息の日々」で語られるかも知れません。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-46ee.html

…こう書かれては語らざるを得ませんねえ。
実はこの会合に出席するのは労働契約法の検討段階で孤軍奮闘していた時期以来なので、最近どんな様子なのかは知らないのではありますが(メンバーもずいぶん変わっていましたし)、当時の記憶からするときのうは出席者も多く盛況で連合のイデオローグ(謎)であるとされるhamachan先生の講義に対する関心の高さがうかがわれました。いつも意気軒昂なhamachan先生にしてはいささか物静かにお見受けしたのは、経団連相手ということもさることながら、ハードスケジュールでお疲れ気味だったのでしょうか。
「ひときわ巨大」はまあそのとおりでして、どうも旧日経連系の会合参加者は平均よりやや小柄というのがなぜかデフォルトのようで、私も初対面の方にサイズ的意外感を持たれることが間々あります。
さてhamachan先生のお話ですが、先生が「労働法律旬報」誌の「海外労働事情」に寄稿された「EU有期労働指令の各国における施行状況と欧州司法裁判所の判例 」(http://homepage3.nifty.com/hamachan/roujunfixed.html)のご説明が45分、わが国へのインプリケーションが15分という構成でした。EUの話はhamachan先生のサイトでお読みいただくとして、わが国へのインプリケーションとしては「有期契約労働者の賃金に対する期間比例原則の適用」と「金銭解決による有期契約の終了ルールの明確化」が提示されました。
で、hamachan先生のブログを読まれた方には、さぞかしhamachanと労務屋が激しいバトルを展開したのであろうと期待?された向きもおありかと思いますが、実はそんなこともなく(笑)。質疑が途絶えたところで、座長から貴様はいつも四の五の云うじゃないか、今日は云わないのか、という意味のことを上品な表現で云われたので、少しだけ意見を申し上げた程度でして、いや本当に(さらにいえば四の五の云ってたのは労働契約法の議論だからであって、常時そうだというわけでもないのですが)。
そこで何を申し上げたかですが、まず期間比例原則については、それが労務管理上必要である、すなわち有期雇用労働者の役割が大きい、あるいは一定の技能の伸長が期待されているといった中で、有期雇用労働者に対する動機づけとして一定の昇給が必要であるならば、企業はすでにそれをやっている(スーパーマーケット大手のパートタイマーや自動車産業期間従業員など)。いっぽうで企業の中には平易な仕事を確実にやってもらえば十分で、技能の伸長なども特段期待しないといった仕事も現実にあって、そういう仕事だと期間比例で昇給させるというのも難しいだろう。これ以上はあえて申し上げませんでしたが、云わんとしていることは期間比例原則も否定はしないが現場のニーズ次第であって、したがってこれを法定するようなことはやめてほしい、ということです。
雇用終了ルールについては、たしかに3年を超えると期間の定めのない雇用になってしまいかねないからそれ未満で雇い止めしなさい、という指導をする社労士もいて、多くの企業がそういう運用をしている。それが4年、5年、6年でも大丈夫ということになれば、働く人も雇用が安定するし、企業の側にも教育訓練を行うインセンティブが高まるから、働く人のキャリアにとっても有利である。雇用期間に応じた「退職金」を支払うことで、何年雇用しても、何回更改しても期間満了で雇い止めが可能だということが明確になれば、使用者にとってもメリットのほうが大きいのではないか。こちらも言いはしませんでしたが、云わんとしていることは雇い止めは有期雇用の本質であって解雇規制の潜脱でもなければ有期雇用の濫用でもないということです。
その先は例によって有期雇用労働者のキャリア形成をどうすべきかという議論になるわけですが、このあたりはもう昨日の会合の守備範囲を逸脱しそうなのでやめておきました。
なお、賢明な読者の方はすでにお察しのとおり、この会合のキモはhamachan先生ご退席後の「(2)その他」にあるわけでありまして、その中身はさすがにここで書くわけにはまいりません。