解雇規制は学歴差別を助長するか

今朝の日経新聞「経済教室」では、政策研究大学院大学教授福井秀夫氏が、わが国の厳しい解雇規制について「学歴偏重を助長し、所得階層を固定し、格差を拡大させる」として、その見直しが必要と述べておられます。

 裁判例の積み重ねで労働者の解雇に関しては、厳しい要件が課されている。労働者の生産性が低くても使用者は容易に解雇できず、採用時に学歴を重視せざるを得なくなり、格差を助長している。判例頼みから脱却し、雇用契約の精緻化と合意の尊重を立法で図るべきだ。
(平成18年4月28日付日本経済新聞朝刊から、以下同じ)

解雇規制については、福井氏自身も関与してきた規制改革・民間開放推進会議やその前身である各会議・委員会において、かねてから緩和が主張されてきましたが、労働界はもちろんのこと、経済界からも慎重が意見が表明され、今のところ大きくは実現していません。その大きな理由として、規制緩和論者たちが企業の人事管理や人材戦略について十分に理解していないことがあるように思われます。ここでは福井氏の所論を材料に、この問題について考えてみたいと思います。

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