消費税は本当に逆進的か

現在販売されている「論座」12月号に、阪大の大竹文雄教授・小原美紀助教授の師弟コンビ(「弟」というのも変ですが)による「消費税は本当に逆進的か」という論文が掲載されています。それによると、見方を変えれば消費税は逆進的ではなく、むしろ累進的であることが統計調査から確認できるといいます。
そのポイントを私なりに要約するとこんな感じでしょうか。

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「髪バッサリ」に慰謝料24万円

たまには(本当か?)下世話な話題もいいでしょう。今朝の日経新聞の社会面にこんな記事がありました。

 東京・歌舞伎町のキャバクラに勤める女性(27)が、「美容院で希望に反して髪を短くされ、収入も減った」として、都内の美容院経営会社に慰謝料など600万円を求めた訴訟の判決が16日、東京地裁であった。水野有子裁判官は「女性は髪をアピールポイントとしていたのに自信が持てなくなった」と述べ、慰謝料約24万円の支払いを命じた。
 水野裁判官は「美容師が十分な確認を怠り、結果として意に沿わない髪形となった」として、美容院側の過失を一部認めた上で、「容姿の美しさが重視される職業で、髪形は大きく影響する。女性は接客にも自信が持てなくなった」と述べ、慰謝料支払いを命じた。
(平成17年11月17日付日本経済新聞朝刊から)

いかにも三面記事的な「ふーんニュース」ですが、これも一種の労働問題でありましょう。

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昨日のフォロー

球団

 TBSが16日発表した2005年9月中間決算は、連結経常利益が56億円と前年同期に比べ半減した。スポット広告収入が減ったうえ、番組制作費が膨らみ利益を圧迫。2006年3月期通期の経常利益の見通しは前期比34%減の145億円と従来予想から35億円下方修正。傘下の横浜ベイスターズに見込まれる12億円の損失を埋めるが「従来通り支援し売却する方針はない」(平本和生常務)と継続保有を強調した。
(平成17年11月17日付日本経済新聞朝刊から)

こちらはまだ球団を持ち続ける意向のようです。まあ、近鉄と異なり赤字というわけでもなく、一過性の減益要因が多いからという判断でしょうか。

橋梁談合

 鋼鉄製橋梁工事を巡る談合事件で指名停止を受けたメーカー各社の経営への影響が広がっている。…特に専業メーカーにとって経営環境は厳しく…専業のサクラダは16日、みずほ銀行など取引金融機関に対し、合計89億円の債権放棄を要請すると発表した。業績悪化に伴い06年3月末時点で88億円の債務超過に陥る見通しとなったため。みずほ銀行は「大筋で了解している」としている。
 リストラも進め、約200人いる社員の三割程度を今年度内に削減し、一定額の減資にも踏み切る方針。これと並行して新たなスポンサーを引受先とする第三者割当増資を25億円を目標に実施し、財務体質を改善する。
(平成17年11月17日付日経産業新聞朝刊から)

やはり、談合前提の経営計画、人員計画になっていたわけですねぇ。

メモ

新日鉄、希望者全員を再雇用

新日本製鉄は16日、60歳定年を迎えた社員を対象とする再雇用の上限年齢を、現行の62歳から段階的に65歳まで引き上げる新制度を労働組合に提示した。
…現在の再雇用制度は会社が必要と判断した人材のみが対象。新制度は定年時の仕事の継続が条件だが、実質的に希望者全員を対象にする見通し。
 処遇制度も見直す。従来、月例賃金は17万5千円で一律だったが、定年時の業績給と業務給の合算額を支給。平均では従来より5千円程度上昇し、2万−3万円増える人もいるという。
(平成17年11月17日付日本経済新聞朝刊から)

「定年時の仕事の継続」ということですと、体力やスキルが落ちてきている人にはすでにそれなりの仕事が与えられているでしょうから、基本的には希望者全員ということになりそうです。その仕事ができなくなったら、65歳前であっても再雇用も終わり、ということでしょうか。となると、長く働くためには、定年前にいかに軽い仕事に就いておくか、ということが重要になりそうです。だからこそ、処遇制度も見直して、定年時処遇(軽い仕事に就けば処遇も低いでしょうから)をベースにする必要があるということなのでしょう。

有能パートを正社員登用

 表示灯大手のパトライトは16日、自社工場でセル生産や品質管理を担当する有能なパート社員を正社員などに登用する制度を新設し、同日付で5人を選んだ。自社の海外工場や国内協力会社での生産改革の指導役として活用する。
 パート社員の大半は主婦が占める。新制度には正社員のほかに転勤がない「準社員」という受け皿も設けた。準社員はパートと同様に一年契約で、時給などの処遇を大幅に引き上げる。審査に合格した5人のうち4人は準社員を選んだ。今後も希望があれば能力を審査し、積極的に登用する。
(平成17年11月17日付日本経済新聞朝刊から)

均衡処遇がどうしたこうしたという議論がありますが、そもそもなにが均衡なのかは使用者にしかわからないはずではないでしょうか。企業はビジネスの必要や労働市場の必要、従業員のニーズに応じて、それなりに均衡処遇をするものです。当事者である労働組合(連合は当事者じゃないよ)などがいうのならともかく、外部の第三者があれこれいって無理やりにやらせようとすると、かえって企業の登用意欲を阻害しかねないのではないでしょうか。
ちなみにパトライトは連結年商107億円、従業員600人の優良企業です。