日本労働研究雑誌2・3月号

 (独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』2・3月合併号(通巻740号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 合併号は毎年恒例の学会展望で、今年は「労働調査研究の現在」ということで過去3年間の主要業績を通じて展望されています。不勉強な私は読んでいないものの方が多いので、主要業績の概況を知ることができるという点でも勉強になります。巻頭の「提言」には八幡成美先生の懐かしいお名前が見え、「本をネット通販と本屋の店頭で購入する際の違いは、目的の本を購入するだけなら前者が便利だが、知らなかった本に出会う機会は後者のほうがはるかに優位にある。つまり、生きた人間の活動を調査していることを忘れてはならない」と述べられています。私は学術調査をする人ではありませんが、しかし仕事全般に通じることではないかと思います。

ビジネスガイド4月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』4月号(通巻916号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は「改正育介法&重要法令施行直前チェック」ということで、4月施行の改正育介法・個人情報保護法公益通報者保護法道路交通法および年金・社会保険の改正について解説されています。人事総務担当者の職務は年々複雑化していますね。
 八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保険」はいつのまにか第26回と、2年を超える連載となりました。今回は前回に続いて法科大学院から始まり、借地借家法の問題点などを通じて「法と経済学」の重要性が説かれています。大内伸哉先生のロングラン連載(こちらは第177回!)は「労働契約申込みみなし制Part2」ということで、偽装請負の申込みみなしについて最近の注目判例をひきながら検討しておられます。

大竹文雄『あなたを変える行動経済学』

 阪大の大竹文雄先生から、最近著『あなたを変える行動経済学』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 豊富な事例を交えた、読みやすくわかりやすい行動経済学の解説書です。実は私はビジネススクールの授業の中で、キャリア意思決定の流れで1回まるごと使って行動経済学を紹介しており、大竹先生のご著書や論文もひきながら、人間どうしてもサンクコストにとらわれたり現在バイアスや現状維持バイアス、損失回避などの傾向を持ってしまうものなのだから、それを承知したうえで意思決定しましょうといった話をしているわけですが、そのアップデートにたいへん役立ちそうです。あらためてしっかり勉強させていただきます。

佐藤博樹・武石恵美子・坂爪洋美『多様な人材のマネジメント』

 佐藤博樹先生・武石恵美子先生・坂爪洋美先生から、ご共著『多様な人材のマネジメント』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 中央経済社から刊行中の「シリーズ ダイバーシティ経営」の1冊で、約1年ぶりの刊行となります。これで全6巻中5巻が出版されたことになります。「多様な人材のマネジメント」はまさにシリーズ名の「ダイバーシティ経営」であり、本シリーズの総論として位置づけられる1冊ということです。豊富な既存研究をふまえたダイバーシティ・マネジメントの解説書として多くの実務家に有益なものと思われます。

ビジネスガイド3月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』3月号(通巻915号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は『パワハラ防止法完全施行』『政府の経済対策による助成金の活用・申請』『テレワークの労働契約上の位置付けと制度設計~私傷病休職からの復職判断への影響』となっています。私傷病休職からの復職過程で、「出社しての就労は困難だがテレワークなら可能」という状況への対処というのはけっこう目新しい課題かもしれません。特集以外の記事にも「ウェブ採用における「替え玉受験」対策」というのがあって、いやはや実務家の方々は大変です。
 八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保障」はやや守備範囲を逸脱して?「司法試験改革と法科大学院」が論じられています。大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は「非正社員の組織化」ですが内容的にはユニオン・ショップ協定が中心で、大内先生の批判的立場がうかがわれて興味深いものがあります。

日本労働研究雑誌特別号

 (独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』2022年特別号(通巻739号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 例年刊行されている、JIRRA主催の「労働政策研究会議」報告の特別号です。昨年は慶大の八代充史先生が委員長を務められ、「ジョブ型雇用は日本の雇用・労使関係と親和的か?」というテーマで開催されました。私は残念ながら当日は別件があって参加できなかったのですが、冒頭の佐藤博樹先生の論文は混乱を極めるいわゆる「ジョブ型」論議の交通整理として非常に有益ですし、その後に外資系企業の人事や富士通の労組からの事例紹介があるのも非常に参考になります。自由論題も含めて勉強させていただきたいと思います。

経団連『2022年版経営労働政策特別委員会報告』同事務局『2022年版春季労使交渉・労使協議の手引き』

 経団連事業サービスの藤原清明さんから、経団連『2022年版経営労働政策特別委員会報告』同事務局『2022年版春季労使交渉・労使協議の手引き』をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 すでに春季労使交渉もスタートして先行する金属労協各社の交渉は佳境に入っているわけでまことに出遅れ感満載な御礼・ご紹介で恐縮なのですが、なにしろ在宅勤務が快適すぎてここ数か月は毎月1回月末に出社するのがパターン化しておりますのでどうかご容赦を。『報告』のほうはコラムで労働生産性の国際比較を検証しているのが興味深く、低い低いと言われる日本の労働生産性ですが、昨今は働き方改革=労働投入量の効率化でそれなりに健闘しており、さらなる向上に向けて付加価値の増大が必要だと主張しています。書かれてはいませんが、やはり向上した価値をきちんと価格に反映させて付加価値の増大として計上することが重要だということではないでしょうか。『手引き』のほうは相変わらず最新動向の確認と事例紹介を含めた対処について要領よくまとめられていて、実務家の座右に最適の一巻となっています。