濱口桂一郎・海老原嗣生『働き方改革の世界史』

 濱口桂一郎先生から、海老原嗣生さんとの共著『働き方改革の世界史』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 われらがhamachan先生ことJILPTの濱口桂一郎研究所長が、海老原嗣生さんの編集になる『HRMics』誌に寄せられた「原点回帰」という連載をもとにした本です。この連載は毎回1冊労使関係の古典的著作をとりあげてその内容を紹介し、今日的な意義を解説するという非常に硬派なもので、正直に白状しますと私もこの連載で初めて存在を知った本もありました。本書では連載記事の前後に海老原氏による序説と両氏による対談が加わっています。対談が全体の解題のような役割になっていて全体が一望できるように工夫されています。私としては異論もありますが(笑)、連載部分も含めてあらためて勉強させていただきたいと思います。
 

本間達哉『1on1の対話レッスン』

 (一社)経団連事業サービスの輪島忍さんから、経団連出版の最近刊、本間達哉『1on1の対話レッスン-ワンランク上のコーチング』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

1on1の対話レッスン-ワンランク上のコーチング

1on1の対話レッスン-ワンランク上のコーチング

  • 作者:本間達哉
  • 発売日: 2020/09/11
  • メディア: 単行本
 1on1もよく耳にするようになりました。多様化が進む中で、上司・部下の1on1には特別な大切さが感じられているのかもしれません。この本は上司向けの本ではありますが、部下が読んでもネタバレ本として面白いかもしれません。

JILPT研究成果物

 (独)労働政策研究・研修機構様から、以下の資料をお送りいただきました。いつもありがとうございます。すべて、機構のウェブサイトからお読みになれます。

●調査シリーズ

No.200 家族の介護と就業に関する調査
https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/200.html
No.201 フリースクール・サポート校等における進路指導・キャリアガイダンスに関する調査結果
https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/201.html
No.203 企業における福利厚生施策の実態に関する調査―企業/従業員アンケート調査結果―
https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/203.html

●資料シリーズ

No.226 ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング-企業領域におけるキャリア・プランニングツールとしての機能を中心として
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2020/226.html
No.228 職業分類作業部会報告Ⅱ―厚生労働省編職業分類・分類項目表の見直し―
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2020/228.html
No.230 職業レディネス・テストの改訂に関する研究―大学生等の就職支援のための尺度の開発―
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2020/230.html
No.231 中国のプラットフォーム就労関連裁判例の整理と分析
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2020/231.html

 私の授業でも職業レディネス・テストはホランドのヘキサゴン・モデルのところで紹介するのですが、まさに中高生向けのものという説明をしています。それを大学生から若手求職者にも有効なものにするというのはなかなか野心的な試みといえそうで、先行き注目したいと思います。

ビジネスガイド10月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』10月号(通巻892号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

ビジネスガイド 2020年 10 月号 [雑誌]

ビジネスガイド 2020年 10 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: 雑誌
 今月号の特集1は「コロナ禍で人件費削減を行う場合の留意点」というもので、多くの企業でこの特集が不要であることを祈りたいところですが、記載されている内容は基本的にコロナ禍にかかわらず一般的な人員整理の手順となっています。
 八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保険」は今回は雇用保険を取り上げており、その現状と問題点を論じておられます。フリーランスなど雇用類似の働き方に対する保護が必要とのご指摘はきわめて重要と思われます。一方で、現状の失業等給付が年功的賃金を前提している点へのご批判は、年代によって生計費が異なることを考慮すると致し方ないようにも思われます。大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は例の国際自動車事件を取り上げて解説しておられます。

坂爪洋美・高村静『シリーズダイバーシティ経営 管理職の役割』

 坂爪洋美先生、高村静先生から、ご共著『シリーズダイバーシティ経営 管理職の役割』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 佐藤博樹・武石恵美子両先生の監修になる「シリーズダイバーシティ経営」の最初の一冊ということのようです。書名のとおり、ダイバーシティ経営における管理職の役割についてさまざまな調査をもとに解説されています。
 以前、「イクボス」が提唱されはじめた当時、このブログでも若干の違和感を表明したいたのですが、なにかというとイクボスのキャリアというのがいまひとつ見えてこないわけですね。これがダイバーシティ全般に広がってくるとますますそうで、この本でも繰り返し書かれているように管理職の役割は大きく、仕事は難しくなるわけですが、それがキャリアにどのように反映されていくのか。たぶんプレイングマネジャーではやっていけないはずなので育成も含めたそのキャリアはどうするのか、「ダイバーシティが組織を活性化してイノベーションに結び付く」というのは可能性としてはもちろんあるわけですが、とはいえ現実の業務においてはやはり有能な部下を集めてバリバリ働かせる管理職が多くの成果を上げるという場面も多いはずで、このあたりをどう評価していくのかとか、もちろん「かくあるべし」はあるにしても現場がそれで納得するかという問題もあるわけで、けっこう難しい問題だろうなと思っていて、まあ授業の中でも「ダイバーシティ・マネジメントとキャリア管理」は1回使ってやっているわけですが、正直なところこのあたりはまだうまく説明できていません。
 まだパラパラと目を通しただけなのですが、こうした問題を考えるのに有意義な内容がたくさん含まれているように感じましたので、ぜひしっかりと勉強させていただきたいと思います。また、このシリーズの続刊にもおおいに期待したいと思います。

日本労働研究雑誌9月号

 (独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』9月号(通巻722号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

日本労働研究雑誌 2020年 09 月号 [雑誌]

日本労働研究雑誌 2020年 09 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/08/28
  • メディア: 雑誌
 今回の特集は「専門・管理職の女性労働」となっています。時あたかも安倍首相が退陣を表明して長期政権を総括する議論がさかんですが、女性活躍の推進についてはそれなりに高く評価できるのではないかと思います。もちろんまだ不十分だとか方向性が気に入らないとかいう議論はあろうかと思いますが、しかし明らかに女性活躍を後押しする方向に政策が変わったことは認めていいのではないでしょうか。
 そうした中で、まだまだ成果が不十分とされているのが女性のエンパワーメントであり、そうした中で本特集はきわめて時宜にかなったものと申せましょう。いつになく論文の本数も多く、多様な観点から検討が加えられています。また、やはり目をひくのは特集だけではなく巻頭の提言から書評、コラムに至るまで著者がすべて女性であるという点で、編集委員会の解題では特に触れられていませんが、その意志が働いたものでしょう。勉強させていただきたいと思います。

ビジネスガイド9月号

 会社が最寄り駅から10分のところにサテライトオフィスを準備してくれたとのことでありがたいことこのうえないわけですが、これでますますオフィスには出社しなくなるだろうなと思うことしきり。ということではありますが久々に出社して郵便物を回収しましたのでいただきもの御礼です。
 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』9月号(通巻891号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

ビジネスガイド 2020年 09 月号 [雑誌]

ビジネスガイド 2020年 09 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/08/11
  • メディア: 雑誌
 そろそろ次号も出ようかというタイミングかと思いますが上記の事情で申し訳ありません。今回の特集はウィズコロナ下での安全配慮義務と緊急支援策・補助金、9月1日に施行された労災保険法の政省令(兼業・副業)、そしてハラスメント対応と充実したものとなっています。
 八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保障」は今般のコロナ対策における雇用調整助成金制度の拡充について検討しておられ、諸外国の例なども引きながら、より手続きが簡易で迅速な失業給付の拡大・活用を訴えておられます。たしかに指摘されるとおり金額面で均衡を失しているのは失業のやむなきに至った人の保護という面では問題があるので適切な対応が必要だと思います。いっぽうで、失業給付ならすぐにも貰えるので事業主都合解雇にしてくださいという労働者もあまりいないように思われ、やはり雇用が維持されることに意義があるという前提で制度拡充がなされているのだろうと思います。多くの人が、いつか終息したときには同じ職場で、同じ仲間と、同じ仕事をしたいと願っていることが政策に反映されているのだろうと思うわけです。
 大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は「降格的配転」を取り上げておられます。とりあえず、「”ジョブ型”人事制度を導入すれば管理職層を一方的に配転して賃下げできるようになるのではないか」などと考えている経営者や労担役員には十回くらい繰り返し読んでもらいたいものだと思います(笑)。